公開
1999-05-01
改訂
2004-08-21
マーク附け修正
2017-03-22

BOOTLEG

購入の経緯

普通のlainのファンなら発売日に買ふのでせうが、事情があり1999年4月30日石丸電気SoftOne(秋葉原)にて購入──発売から1週間経過してゐます。

Windows用のインストーラにバグがあつたのは周知の事実ですが、石丸でBOOTLEGを買つたら、差替のCD-ROMを貰へました。CD-ROMをプレスするだけならそれ程お金はかからないので、ユーザは心配しなくても構ひません。CD-ROMだけのデモ版がよくありますが、あれも金がかからないから出来るのです。

メーカサイドにしてみれば、在庫を抱へる方が余程頭が痛い。商品を持つてゐると税金がかかるからです。だからスリーブやPケースや投込みちらしや葉書をばらのまま置いておいて、商品が在庫切れになるとCD-ROMだけプレスしてアセンブルするメーカもあります。部材なら商品の様な税金はかからないからです。

それから、おまけでキャラクター設定集もくれました。コピーです。もとの資料をそのままコピーしたのか、コピーのコピーかは知りません。貴重なのかもしれませんが、金のかかつてゐない割に効果的な販促商材です。

それからボアのトール・スネーク・EPも買ひました。これまた金をかけてゐない様なパッケージです。本当はCDなんてそんな原価は高くないんですが、実に安つぽいです。絵だけ異様にいいですが、かうしてみると玲音つてO脚気味です。

インストール

バグフィックス版のCD-ROMをドライブにつつこんだら、ルートディレクトリが開きました。あとでReadme.txtを見たら、セットアップが自動で起動するとの事──ですが、しませんでした。うちだけの問題なのかも知れないですし──気にしない事にします。Windowsでのトラブルは半分位の割合でWindowsのせゐです。

紙のマニュアルはありません。そんな時トラブルシューティングはReadme.txt頼りです。勿論たいてい役に立ちません。

しかしBOOTLEGにはルートにReadme.txtがない! 変なところにReadme.txtを入れるのは不親切です。役にはたたない事が多いとはいへ、ないよりはあつた方が気分がよい。

Readmeはセットアップが終るとスタートメニューに登録されます。勿論セットアップは無事に完了されてゐるのですから、いまさらトラブルシューティングも動作条件も書いてあつたつて意味がありません。出し遅れの証文の様に無意味です。これではセットアップが動かない素人は困るばかりです。どうせBOOTLEGの購入者はマニアだから問題なしといふ訳でもないでせうが。

ちなみに、セットアッププログラムもReadme.txtもルートディレクトリには見当たらない。そんな時にはどうするか……そんな時は迷はずAutorun.infをエディタで覗いてインストーラがどこにあるか確認すればよい。これはWindows9xユーザの常識です。オートランを信用してゐたらWindowsユーザとはいへません。バグには困りますが。

Autorun.infの記述によれば、setup.exeはwin_setupディレクトリにあるとの事──ディレクトリを開いて起動します。インストーラそのもののバグはフィックスされてゐるやうです。

まあ、バグはないけれども面白くないCD-ROMと、バグがあるけれども楽しめるCD-ROMとどちらが良いかはわからないですが──私が以前ゐた会社では、デバッグだけは異様にきちんとやつてゐました。某有名ソフトGADGETはMac版を1週間で作り、その翌週Windows版を作るといふ強行軍的スケジュールでしたが、デバッグは気合を入れて(当時アルバイトだつた私が)やつたのでバグで異常終了する事がないと評判でした。ただし内容は詰らないと評判でした。

さて、BOOTLEGのセットアッププログラムは本当にただファイルをコピーするだけです。一応コピーするファイルを選択出来ます。

アンインストールもコントロールパネルで可能の様です。勿論バグあり版を使用してゐる人はインストーラを使つてゐないでせうから、誰もアンインストールを実行してゐないでせう。インストーラを強引に使つてインストールした人も、怖くてアンインストールは実行出来ないかもしれません。ただ、ファンはまだ「不用」になつた人はゐないでせう。

一説に、デバッグはまつさらなWindowsにしてみるといい、といふものがあります。とにかく6000円といふ事は、CDの分が3000円とすると、CD-ROMが3000円なのです。3000円なら、おまけとはいへません。商品ですからインストールが出来ないといふのは問題です。動作確認のためにIBM、NEC、コンパック、富士通、アップル各社がテストラボを用意してゐます。

内容概観

中身は確かに「へなちよこ」です。実用性を考へてはいけません。

時計代はりにはするのはおすすめしません。しても構ひませんが、Windows9xではリソース不足になりかねません。

GDIリソースを、起動時に3%、ランチャボタンをクリックした状態で2%、熊撃で18%、ドレスアップで5%、劇場で2%、消費します。最初の時計からランチャ画面に切替へて熊撃、ドレスアップ、劇場でリソースを喰ふと時計に戻してもリソースが返ってきません。

WordやExcelの類とは、とても同時に起ちあげられません。インターネットサーフィンなどするのもやめた方がよいでせう。

それから、ランチャーはNoelとデザイン的に似てゐるやうな気もしますが、関係ないかも知れません。この手のおまけの定番は時計ですから似てゐても気にする必要はないかも知れませんが念のため。と言ふか、Noelつて何ですかとか私には聞かないで下さい。

デザイン面では今ひとつ

lainは基本的にスタイリッシュなアニメーションです。熊パジャマなども意味深長で、単に可愛らしいだけではない。

が、BOOTLEGの中身はただの「可愛い系」の面が多い様な気がします。一方で何となく素材をそのまま詰込んだだけの様な気もします。

確かに、デモ版を作る筈が、製作者が熱中してしまつて完成がずるずると遅れた挙げ句ものすごい内容(完全に新作同然の状態)になり、それを売物にしまふ、といふ某シナジー幾何学のがじぇっと関係の某タイトルみたいに必要以上に中身を充実させる事はないです。大体そんな事してゐると、次回作の製作が遅れて、会社がなくなつてしまひます。しかしBOOTLEGに発売日を遅らせる程の技術的問題がどこにあつたのかはよくわからない。

全体にかくかくアニメです。まさかDirectorで組んでゐるのではないか──VBではないと思ひますが、Ver.5ならランタイム*.DLLは要らないからわからない。ちなみに「伝統的なCD-ROM」はみんなDirectorで作つてゐました。CD-ROMソフトが遅いのはディレクターとムービーとCD-ROMドライヴが遅いせゐでしたが、まさかBOOTLEGで当時のみたいなかくかくアニメが見られようとは……と言ふか、今となつてはこのあたりの話、完全に昔話ですねー。

熊撃ゲーム

熊撃ゲームのとろさと表示可能なオブジェクト数の少なさは、まさに「伝統的なCD-ROM」です。中途半端にインタラクティヴで実に単純なフラグを使つてゐる所がGADGETかMYSTみたいです。とてもゲームとは呼べません。

以下、熊撃ゲームの裏技です──勿論ろくな裏技ではありません。

お父さんやお母さんやお姉さんが出てきたら即座にゲームウィンドウを閉じませう。それだけで減点されません。ドライバ玲音と組合はせると10分程度で1000点は行きます。

そのためにはランチャーの熊アイコンを素早くクリックするといいのですが、まさかそれで熊撃ゲームといふのでせうか?!(違ふと思ひます)

ドレスアップ

ドレスアップはKISSみたいですが、あれと違つてスリップは脱がせられません。意外とlainのスタッフはストイックです。(違ふかもしれない)アイテムを手に持たせてあげるのは骨が入ります。

と言ふか、着せ替へ遊びプログラムKISSなんて、もう誰も知らないかも。

劇場

劇場のパロディは、マニアならば笑へます。素人が白けたり怒つたりするところを笑つて許すのがマニアです。

それに純正パロディですので、許すも許さないもありません。本気でやると或はふざけ過ぎると『小っちゃいって事は以下略』や『上段の突きを喰らう獅子』(SFマガジンに昔、載つた)になつてしまひます。

lainそのものは御固いものではないといふ風に作られてゐます──が、すぐれた或はろくでもないパロディはファンだけが作つてよいものです。製作者自身は羽目を外してはいけません。本家が凄まじい「パロディ」をやつたらファンの出る幕がないし、それはパロディの範疇を越え、新作であり、きちんと別に作ればよいものになります。一方本家のパロディに品がなかつたり出来が非道かつたりしたらファンは離れるだけです。BOOTLEGの劇場はまともな製作者の節度が表はれたものといへませう。

と言ふか、最近、『小っちゃいって事は』も或意味おもしろいやうに思へてきました。堕落してしまひました。

ムービー・壁紙・スクリーンセーヴァ・サウンド

ムービーはテレビで使はれた映像がそのままQuickTimeムービーになつてゐます。ちなみにL1Cut137.movの絵はQT Ver.2(32bit)のMoviePlayerでは見られません──3.0やWindowsのMediaPlayer Ver.6.0ではOKです。L4Mail.movはWindowsのMediaPlayer Ver.6.0でNGでした。QuickTimeのバージョンによつて、映像が見えたり見えなかつたりします。最新のQuickTimeなら大丈夫でせう。と言ふか、2003年になつた今、そのあたりの問題は或意味どうでもよいやうな気もします

壁紙は各種媒体に使はれたものが*.jpgになつて入つてゐます。JPEGではクオリティが劣化するのですが、*.epsで入れたら見られないユーザが多いかも知れません。謎。

スクリーンセーヴァは映像が出てくるだけで、もとの映像はスタイリッシュですからいいのですが、それ自体は普通のプログラムです。なほ説明の*.txtファイル中ではスクリーンセーヴァのファイル名が実ファイル名と違ひます。漢字のファイル名がCD-ROMのファイルシステムで使へないから変へたのでせう。

サウンドは*.aifなので、Windowsで効果音に使ふには*.wavに変換が必要です。一方、*.mp3が入つてゐるのは鑑賞するのにはよいのですが、PCのスピーカはあまり品質が良くないのでCDの方も聴きませう。と言ふか、2003年現在、このあたりの記述も古びてしまつたやうな気がそこはかとなく。

アイコン

アイコンがCD-ROMの中に入つてゐます。

付属品・パッケージ

ステッカー、冊子、共に笑へます。ポスターも素敵です──ちやんとCG版もCD-ROMに入つてゐます。

「クマを撃つて得点稼いで、ドレスアップして、レッツ!ワイアード」といふ惹句はいかにもCD-ROMの惹句です。まさにそれだけの内容である事は間違ひないです──CD-ROMに限り、どんな惹句も過剰広告にならないといふ見本です。

しかしこの惹句を考へた方は「これでいいのか」とか悩まなかつただらうかと思ひますが、2003年現在以下略。CD-ROMのタイトルの惹句を考へるのは大変に苦痛です。

それから「ディスクトップ」はやめて欲しいです。

CD

特にいふ事はないです。ただ、冊子の方がProduct No.とTrack No.が入乱れてゐて矢鱈参照しづらい。

総論

スタッフの方もTVの作業が終つて気が抜けた様で、肩の力を抜いた出来です。リラックスして楽しめるCD+CD-ROMだと思ひます。インストーラのバグも、どうせこのCD-ROMを楽しむのはマニアばかりだからこの位のバグがあつた方が話題になつて良かつたのではないでせうか(謎)。

ただ「デバッグしてあげよう」と言ひながらCD-ROMの中を直接参照してゐるマニアが多分たくさんゐるのではないか──と考へると少し嫌な感じもする。と言ふか、最うこのあたりの記述は直す気が無いです。

To Be Continued