外科医 佐藤惣之助  外科医は金色の人を裁りさいなみ 霊に彩られた亡者に青空色の繃帯し 神経の奥深き魅力の唐草模様にからまれし 生の王宮を大脳と心臓の中に展望する  蒸氣機関と醸造場を血と温度の中に 虹と鮮麗なる風車を呼吸機関の内に ふしぎなる人体作者の繊巧なる行方を 日中の諸天体の下に披瀝し探険する  彼は天文と航海術を女体の上に指し 数学の渦巻と星辰術の雲を透して 自然の大工となり栽培者となり 人体果樹園の洋燈の下に坐る