磐梯山にて 山の上から 青い湖を見つめてゐると 日中の三日月をかんじる 高壓的な空氣は 梨の花をもつて せはしない肺を煽る ((鋭敏な感覺の花をかんじないでは 高空の透明な虹は見られない 孤獨に戀着してゐないものは 山の情熱に匹敵する事は出來ない)) 泣きつかれた者も 戰ひつかれた者も ここへ來ると肺にカがみちわたる わたしは紫と紅のかんじ易い花をとつて いま日中の三日月を飾りながら ここに自分の孤獨を祀つてゐる