四百九十五 二月十四曰青森県金木町津島文治方より青森県西津軽郡木造町木村久邇典宛  昨夜家へ帰りました。青森中学の生徒にお話をしにいつたのです。あるいてお出でだつたさうで大変でしたでせう。悪かつたと思ひます。お許し下さい。眼鏡をかけた女のひとは嫂でせう。木造の松木の薬屋は私の家とは近い親戚なのです。今度は私の方から出かけてゆきませうか。そして、皆さんに松木の家に集まつていただき、酒でも飲んで一晩ゆつくり馬鹿話をしたいと思つてゐます。  いいお手紙でした。御自重ください。不一。