制作者(webmaster)
野嵜健秀(Takehide Nozaki)
公開
2001-10-19
改訂
2002-01-03

当用漢字表補正案(昭和40年12月9日 部会報告)

「当用漢字表」の補正といふ懸案を、第3期、第4期の国語審議会は採り上げようとせず、論じようとしなかつた。

第5期になつて、第一部会が、昭和29年の「補正資料」に關して、「28字の増減についてはほぼ妥當」と云ふ報告を総会に送つただけである。

第6期になつて、それまでの国語政策は全面的に檢討され、「当用漢字表」に就いても再檢討の必要がある、と云ふ事になつた。

しかし、具體的な審議は、第7期になつてはじめて行はれた。その審議を擔當したのは第一部会で、国立国語研究所による報告「現代雑誌90種の用語用字」(昭和31年の雜誌を調査したもの)を資料に檢討された。そして、最終的に、「当用漢字表」から削つて良いと思はれる漢字31字、加へて良いと思はれる漢字47字が選び出された。が、この案は結局採用されず、「当用漢字表」は昭和21年當時の姿のままで維持される事になつた。

どのみち、「当用漢字表」が行はれてゐる状況を調査した資料からは「当用漢字表」擁護の結論しか引出せない筈である。「言葉は變化する」と云ふ大前提があつて新たに作られた「言葉の決り」が、却つて言葉の變化を止めると云ふ皮肉な結果を生みつつ、立ち腐れていつたのである。