「無理」は名詞で、「形容動詞」的な活用をする事があります(「無理だ」「無理な」)。
形容詞として「無理」を「かり」活用させるのは、正しい用法ではありません。ですから、「無理からぬ」には本來なり得ません。
(連語)無理でない。もっともな。reasonable
無理でない。もっともな。
「無理」の下の小見出しに「無理からぬ」を出してゐます。
<連体>無理でない。もっともな。※本來なら「無理ならぬ」であるべきだが、「広からぬ」「低からぬ」などの類推からできた語。
『岩波国語辞典第三版』のやうな説明は、辭書として最低限必要なのではないかと思ひます。
或は、『広辞苑』等の日本の大きな辭典は、誤用をさつさと「正しい」言ひ方として認めてしまふ傾向があります。困つた事です。
餘談ですが、「無理往生」(無理に服從させ、押附けてやらせる事)の説明で、『岩波国語辞典第三版』は「無理圧状」が正しい
と註を附けてゐます。「無理矢理」(無理を強ひて行ふ樣子)にも「やり」は「遣り」、「矢理」は当て字。
と云ふ註を附けてゐます。
『岩波国語辞典』は、編纂者の見解が隨所の記述に表れてゐて、良い辭典です。