制作者(webmaster)
野嵜健秀(Takehide Nozaki)
初出
「闇黒日記」2000-10-27
公開
2001-06-21
改訂
2002-07-20

コトバ

カタカナでコトバなんて平氣で書く日本人に、全うな言葉の感覺があるとはとても思へません。

「コトバ」と書く言語學者もゐるが

小林英夫や大久保忠利といつた言語學者が「コトバ」とカタカナで書いてゐます。また、多くの言語學の參考書が「コトバ」と書いてゐます。だから、言語學の用語として「コトバ」はカタカナで書くものだ、と勘違ひしてゐる人がゐます。

實際のところ、言語學の用語として「言葉」を片假名で書かなければならない、と云ふ決りはありません。

小林氏や大久保氏がカタカナの「コトバ」を用ゐたのは、彼らが漢字を嫌ふ表音主義者だつた――「全ての日本語の語は表音的に表記しなければならない」と信じてゐたからです。

そして、多くの言語學者は、小林氏や大久保氏のやうな表音主義を信奉する言語學者に學んだから、參考書を書く時に意識せずして「コトバ」と云ふ表記を用ゐてゐるに過ぎません。


もちろん、表音主義者に學んだせゐで自分も表音主義者になつて、意識して「コトバ」と書いてゐる學者もゐます。