すみけんさんの呈した疑問から。
「敗北」にはなぜ「北」が含まれているのか、どたなかごぞんじありませんか?
- 北
- 字義
- きた。←→南
- きたする。きたに行く。
- そむく。=乖
- にげる。「敗−」
- わける。=分
- そむく。=背
- 解字
- 會意。二人の人が互ひに背中を向け合つてゐる形で、「そむきあふ」「にげる」意を示す。後に、字を借りて方角の「きた」の意に用ゐる。
石井さんに教へていただきました。
- 「敗北」の字義
- 負けて逃げる。=敗走。北は、「逃げる」の意。
- 出典:史記・項羽紀
「所レ撃者服、未二嘗敗北一」 注:*…返り点 └* └* └*- 読み下し:ウツ所のものはフクし、いまだかつてハイボクせず。
- 「北」の字義
- そむく
- に-げる。まけ-る。
- きた。←→南
- きたする。北のほうへ行く。
- そむく。=背
- わける(分)
- 同訓異義語
- 「にげる」の同訓→〔逃〕
- 参考
- 「北(ハイ)」を音符とする字=背、JIS区点番号6590=北+邑(大里)
- 「逃」の字義
- に-げる(-ぐ)。のが-れる(-る)。にが-す。のが-す。
- にげ去る。「遁走」
- さる(去)。立ち去る。
- さける(避)。よける。責任などをまぬがれる「逃避」
- かくれる。かくす。
- まじろぐ。目玉を動かす。
- 同訓異義語 「のがれる・にげる」の同訓
- 〔逃(トウ)〕その場をたちのく。にげさる。「逃走」
- 〔亡(ボウ)〕にげて姿をかくす。「逃亡」
- 〔遁(トン)〕にげかくれる。「遁走」
- 〔竄(ザン)〕こそこそとにげかくれる。「逃竄」
- 〔北(ホク)〕背を見せてにげる。「敗北」
思うに、「敗北」の本義を「まけてにげる」の「にげる」を見逃さないことが肝心なようです。