今夜は部分月蝕。
あーれー? 月蝕じゃなくて月食?
「同音の漢字による書きかえ」と云ふ国語審議会の「報告」(昭和31年7月5日)が惡いのです。
御上は「嘘字を書け」と國民に命じたのです。愚民政策にほかならないのですが、國民は自ら愚民となる事を選擇したのです。
戰後の國語國字改革は、文字の意味や、實際の使用のされ方を考慮せずに、好い加減に行はれた。その良い例が「蝕」の字の問題に表はれてゐるやうに思はれる。
戦前には,日本の地形学の古典である『新考地形学』をはじめすべて「侵蝕」を用いていた。“おかし,むしばむ”という意味で,現象の特徴をもっともよく表現している。 戦後は当用漢字(常用漢字)に「蝕」がないので「食」をあて,「侵食」を用いるようになった。“おかし,たべる”では変であるが,ましてや「浸食」では“ひたし,たべる”になってしまう。
「日蝕」「月蝕」「侵蝕」等、科学、技術
に關する用語は、現在の「常用漢字表」では制約を受けない事になつてゐる筈だが、一度使用を制限されてしまつた爲、社會的に復活出來ないでゐるやうだ。