言質は比較的新しい語で、明治のころは「ことばじち(言葉質)」と言うのが普通だった。それが大正ごろから「言質」と書いてゲンチと読むようになった。「質」には、もともと「チ」という音があるが、質をチと読む語は非常に少なく、一般人にはなじみがなかった。それなのに、言質をわざわざゲンチと読むようになったのは、当時の教養人の仕業と推測される。