制作者(webmaster)
野嵜健秀(Takehide Nozaki)
初出
「インターネット紋切型辭典」
公開
2001-08-14
改訂
2001-08-22

あなた

辭書によると・その1

目下、まで行きますかしら。目上に対しては確かに使いませんが、対等の相手に使ってもおかしくないような。ただ、よっぽど親しくないと、むしろ馴れ馴れしい感じがしますけれど。

とはいえ、もともとは立派な敬意表現だったのものの(何といっても「貴」ですから)、現在では敬意は感じられないのは確かですね。そういう意味では、掲示板やメール(ごくごく私的なものを除く)で使うべきではないというのは同感です。

余談ですが、「貴様」も同様ですね。これなんかどこでどう間違ったのか、ひっくり返って罵り言葉になっちゃってますが。

何とかの一つ覚えで辞書を引いてみると、

あなた【貴方】
  1. (「彼方」の転) 第三者を敬って指す語。あのかた。
  2. 近世以後、目上や同輩である相手を敬って指す語。(現今は敬意の度合が減じている)
  3. 夫婦間で妻が夫を呼ぶ語。
あなた【貴方】
相手を尊重してさす語。相手の男女の別によって「貴郎」「貴女」とも書く。近時、若年層ではこの語に敬意をほとんど感じなくなり、「―様」という使い方も滅びようとしている。

若年層ってのがちょいとひっかかりますが(笑)。現状よりちょっと認識が甘いような気もしますね。

どうも色々と教へていただきまして。

辭書によると・その2

野嵜も自分で辭書を引いてみました。岩波古語辭典

あなたを引くと、まづ、「此方(こなた)」の對。遠稱。カナタの轉、とあります。そして、幾つかの定義が載つてゐます。

彼方
  1. (隔てるものがあつて手のとどかない)向うの方。
  2. (話し手の心の中にある境界の)遠方。あちら。
  3. あちらの人。向うの方(かた)。
  4. あのおかた。
  5. (時間的に、現在から見て)むかう。
    1. (過去にいふ)以前。
    2. (未來にいふ)將來。
貴方
(室町時代にはコナタは目上に言ひ、ソナタは同等もしくは幾分目下に使ふ。江戸時代になるとコナタも敬意が薄くなり、代つてアナタが敬意の高い二人稱として現はれた)あなたさま。

何うコメントしろと。