- 制作者(webmaster)
- 野嵜健秀(Takehide Nozaki)
- 公開
- 2005-06-26
- 改訂
- 2007-04-20
「國語國字問題解説」について
- 「國語國字問題解説」は、ウェブサイト「言葉 言葉 言葉」の一コンテンツで、所謂國語國字問題を扱つてゐます。
- 國語國字問題關聯の資料を提供します。但し網羅的なものではありません。
- 主にかなづかひの問題を扱ひます。但し字音假名遣は扱ひません。
- 漢字の問題は扱ひません。
特記事項
- 當サイトでは「正假名遣」「歴史的假名遣」を用語として併用してゐます。兩者は大體同じ概念を指します。基本的に「歴史的に成立した假名遣の概念と、その規則としての體系」を指して「歴史的假名遣」と呼び、表音主義の概念を導入して作られた「現代かなづかい」に對立する「一貫した體系としての假名遣」を(歴史的假名遣と内容は同じですが)「正假名遣」と呼ぶ事にしてゐます。
- 當サイトでは、漢字制限にとらはれない用字法や簡略化する以前の字體と云つた概念を含む「漠然とした漢字の使用方法」を指して「正字」と呼ぶ事があります。「正字體」を略して「正字」と呼ぶ事もあります。
- 戰後の國字改革において、漢字制限と字體の簡略化は一貫しないやり方で行はれてゐます。「当用漢字表」や「当用漢字字体表」のやうな個別の内閣訓令に基いた具體的な用字法もありますが、それらについて個別に述べる時は個別の内閣訓令における名稱を明記します。一方、戰後の國字改革の結果として成立し、「常用漢字表」で修正されるまで一往存在してゐたと考へられる或種の用字法を、ひつくるめて當サイトでは「当用漢字」と呼びます。「常用漢字表」以後の漢字制限・漢字の用字法、及び現行の漢字制限について述べる際、漠然とした言ひ方をする場合には、一往「常用漢字」と呼ぶ事にします。
- 當サイトでは、「正假名遣」「正字」を總稱して「正字正かな」と呼んでゐます。それに對して、「現代かなづかい」「当用漢字」或は「現代仮名遣」「常用漢字」を「新字新かな」「略字略かな」等と呼んでゐます。
- 漢字にしても假名遣にしても、規則に嚴密に從つてそこから外れた事をしない人間はゐませんから、嚴密に言ふならば「新字新かなの人」も「正字正かなの人」も存在し得ません。ですから、當サイトでは、嚴密な事を言へない大雜把な分類は不可避であると云ふ發想から、「新字新かな」にしても「正字正かな」にしても「大雜把な分類である」と云ふ意識に基いて使用してゐます。
免責事項と御願ひ
- 國語國字問題・國文法・言語學に關する資料は、原典・參考書に當つて記述してゐますが、サイト制作者の誤讀・誤解に基く誤を含んでゐる可能性があります。
- 各記事に於て、サイト制作者の私見は、私見として明記してゐますが、必ずしも一般的に認められた説ではなく、時として誤を含む可能性があります。
- 明白な誤に就いては御指摘いただければ幸ひです。「××は間違ひだ」と云ふ漠然とした非難ではなく、論據を提示して批判して下さい。サイト制作者の代りに正確な解説なり記事なりを書いて頂ければ助かります。より正確な記事を送つて頂ければ、すぐに誤つた記事と差替へます。
- サイト制作者の專門外の事に就いては、識者の投稿を御待ちしてゐます。そもそもサイト制作者は素人なので「專門」なんてない訣ですが。
このサイトを作つた動機
- 『私の國語教室』で日本の國語政策を批判した福田恆存は以下のやうに述べてゐます。
現行の「現代かなづかい」のごとく、かなづかひの原則を變へながら、あるいは變へたと稱しながら、苦しくなると歴史的かなづかひの原則を盜用して辯明するといふのは筋が通らぬと言ふのです。
- その筋が通らない「現代仮名遣」「常用漢字」が現在、一般に用ゐられてゐます。「当用」と云ふ事で採用された筈の漢字表が半世紀以上、纔かな變更を受けただけで大體のところ同じ形態のまゝ、維持されてゐます。斯うした状況はをかしいと思はれます。
- 嘗て用ゐられてゐた歴史的假名遣・正字體には、それなりの「理」があります。歴史的に存在した事で「權利」もあります。さうした歴史的假名遣・正字體が、政治的な目的で強引に潰されました。「現代仮名遣」「常用漢字」は、政治的な目的ででつち上げられたものです。斯かる事實を示し、閲覽者の方々に納得していただく爲に、このサイトは作られてゐます。
- 漢字やかなづかひの問題に關しては、現在も感情に基いた議論が横行してゐます。そして、既に行はれた國字改革を大前提に、それを肯定する爲にする議論すら行はれてゐます。しかし、國語の表記の問題は、學術的・論理的に、冷靜な態度で、批判的に檢討を行ふ必要があると思はれます。
- このサイトの制作者は、國語改革に反對する立場にあります。けれども、サイト制作に當つては出來るだけ公正な態度をとりたいと考へてゐます。國語改革に賛成の立場の人にも妥當な反論をしていただけるやう、歴史的假名遣・正字體を支持する側の意見を整理して提示したいと考へてゐます。