制作者(webmaster)
野嵜健秀(Takehide Nozaki)
公開
2004-11-21

地名・人名の假名書きは可能か

国語審議会の第五期の頃、「地名委員会」なる委員會が作られ、地名を假名書きする事を檢討したさうである。當時は、國字の表音化を狙ふ勢力が国語審議会を占據してをり、宇野精一氏を除く殆どの委員が「地名の假名書き」に贊成したと云ふ。地名で既成事實を作り、引續いて人名の假名書きを實現する積りであつた模樣。

郵政省から反對されて「地名の假名書き」案は流れたらしい。地名を假名書きされたら最う郵便物は扱へない、と云ふのが理由である。郵便番號が作られたのは、この時の名殘。

のち、雜誌「言語生活」で、人名の假名書きについての座談會が行はれた事があり、生命保險會社の人等が出席したが、少數の場合は兔も角何百萬人單位となると同姓同名が増えて名簿が作れなくなる、だから人名の假名書きは技術的に問題がある、と云ふ結論に至つた。

地名や人名のやうに、獨自のものを指し、それぞれ區別が必要となるものは、單純に「筆記の手間」「入力の手間」で議論出來ない。個別のものをそれぞれ區別出來るやうにするには、多樣性を實現する必要がある。文字種を減らす事は、多樣性を損ふ事である。