磐梯山にて

山の上から
青い湖を見つめてゐると
日中の三日月をかんじる

高壓的な空氣は
梨の花をもつて
せはしない肺を煽る

((鋭敏な感覺の花をかんじないでは
高空の透明な虹は見られない
孤獨に戀着してゐないものは
山の情熱に匹敵する事は出來ない))

泣きつかれた者も
戰ひつかれた者も
ここへ來ると肺にカがみちわたる

わたしは紫と紅のかんじ易い花をとつて
いま日中の三日月を飾りながら
ここに自分の孤獨を祀つてゐる