辭書は一語一語の出生、活動、老化、死といふ語の生涯の記録を讀み取る場でなければならない
と云ふ理念に基き、20年がかりで編纂された辭典。
語の個性を明確に辨別すべく、意味を詳細に記述。基礎語の解説が充實してゐるとされる。
由来わが国では「字引き」という。不明の漢字の字形、字音、和訓を手軽に知ればそれで終りである。ヨーロッパ語についての辞書もその習慣を引きついでいる。意味不明の語を辞書に求め、当面の文脈にとって適当と思われる訳語が安直に知られれば足れりとする。しかし、辞書はそれでよいものなのか。