隨筆集。新漢字新かなづかい。
本書は、二部より成っている。一は「史伝閑歩」二十四篇、他は「随筆というもの」十三篇である。人物研究や随筆への関心は、森さん生涯のお仕事の中で、大きな柱であった。
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これらの文章中に施されている評注釈で強調していることを、特に一つとり出すなら、それはよい文章を要求していることであろう。
文を綴ることのお好きな森さんとしては、文章のよきことを条件に入れるのは当然であろう。このもしいとする人物のよい文章を読む喜びは、森さんにとっては、至上のものであったろう。
森さんは、今年三月七日永い眠りにつかれた。……