公開
2001-08-04

『自衞隊よ胸を張れ』

目次

  1. 戰爭は無いに越した事が無いか
  2. 文民統制神話を疑ふべし
  3. 軍隊は政治的に中立たりうるか
  4. 忍從必ずしも美徳にあらず
  5. でたらめの極み、雫石裁判
  6. 文民が軍人を裁く不條理
  7. 文民の正體見たり枯尾花
  8. 文民だけの日本國か
  9. 違憲の存在たる事を誇るべし
  10. 見事なり、あはれなり、第九師團
  11. この道はいつか來た道
  12. 自衞隊よ胸を張れ

内容解説

日本人が、理性ではなく感情で戰爭を拒絶し、自衞隊を拒絶してゐる事を指摘。「感情で平和主義を奉る日本人は、再び感情で軍國主義を奉るやうになる」と豫言。一方、非論理的な國民の我が儘な言動に忍從する自衞隊もまた同罪であり、自衞隊は文民を啓蒙する努力を怠つてはならないと説く。

出版の經緯

「プレジデント」からは同誌がオピニオン雜誌でないからとの理由で掲載を拒絶され、ダイヤモンド社からは賣れないからとの理由で出版を拒絶され、地球社に拾はれた本。

『自衞隊よ胸を張れ』は、「地球社よりも遙かに大きい出版社から出る事になる」と私は前著『續・暖簾に腕押し』のあとがきに書いた。しかし『自衞隊よ胸を張れ』が『諸君!』に蹴られ、『プレジデント』に蹴られ、ダイヤモンド社にも蹴られて地球社に拾はれた事は當然の歸結といへよう。自衞隊は日本國の除け者であり、私は論壇の除け者である。地球社も出版界の除け者なのであり、除け者である自衞隊の身方は結局、『月曜評論』や地球社のやうな、除け者だけなのだ。

地球社から出版された本書は、四囘版を重ねてゐる。ダイヤモンド社が賣れないからと言つて出版を拒否したのは、本心では無かつたのではないかとも思はれるが、會社の規模から考へれば妥當な判斷であつたのかも知れない。もちろん、賣れる、賣れない、は、その本の價値とは全く關係が無い。