喜劇四幕。日本にひつそりと棲んでゐた自稱「ヒットラーの影武者」と、彼を利用しようとする自稱「ヒットラー信奉者」達の「ヒットラーごつこ」を描く。新潮社の第三回日本文学大賞受賞作。
「贋物であつても本物以上に本物らしい贋物は最早本物である」と云ふ逆説を信ずる「ヒットラー信奉者」。そして、現實以上に眞實みのあるやうに思はれる「ごつこ」遊びによる「洗腦」。
しかし、幕切れで、それらを皮肉るかのやうに、街宣車の「商業主義的廣告」が現はれる。
或意味、オウム真理教の出現を豫言したとも言へる怪作。