太宰治全集第十一卷より

書簡

四百九十五

 昨夜家へ帰りました。青森中学の生徒にお話をしにいつたのです。あるいてお出でだつたさうで大変でしたでせう。悪かつたと思ひます。お許し下さい。眼鏡をかけた女のひとは嫂でせう。木造の松木の薬屋は私の家とは近い親戚なのです。今度は私の方から出かけてゆきませうか。そして、皆さんに松木の家に集まつていただき、酒でも飲んで一晩ゆつくり馬鹿話をしたいと思つてゐます。

 いいお手紙でした。御自重ください。

不一。