太宰治全集第十一卷より

書簡

四百九十四

 積極的に動くやうになつたのは感心、感心。動きまはらないといけない。「展望」から返送になつても、決してカを落さず、すぐ次の小説の腹案にとりかかるやう。

 外村さんへの紹介状は同封しましたから、さつそく、亀井さんから外村宅の略図を聞いて、この紹介状と君の原稿を持つて訪問し、いろいろ話合つてごらんなさい。

 とてもいいひとですから。場合に依つては、外村さんのその雑誌にお手伝ひさせてもらつてもいいでせう。

 とにかく、しつかり。こちらは、つまらぬ短篇四つ五つ書き、これから「冬の花火」といふ百枚の戯曲にとりかかる。これは問題作なり。