初出
「闇黒日記」平成13年4月16日
公開
2001-06-11
最終改訂
2002-11-27

どのヴァージョンのHTMLを使ふべきか、と云ふ議論

この記事は、最終改定日現在の状況に基いて記述されてゐます。それ以降に、状況は變つてゐる可能性があります。この記事の記述は、參考程度にしておいて下さい。

適材適所

「ホームページ入門」などで、「Yahoo!のレイアウトが良く出來てゐる」とか云つた事を書いてゐる制作者がゐます。しかし、Yahoo!のコンセプトやコンテンツの量と云つた事を考へずに、Yahoo!のレイアウトだけを論じても意味はありません。適材適所と云ふ言ひ方がありますけれども、「ここのサイトは良く出來てゐる」から、「あなたも眞似しなさい」とは言へないのであります。

HTML文書の從ふべき基準もさうなのであつて、何がなんでも一つの仕樣でやつて行かなければならない、と云ふ譯ではありません。でなければ、異る内容の仕樣をW3Cは用意しなかつたでせう。「いかなる場合も、StrictなHTMLでなければ駄目だ」だの「一般にTransitionalなHTMLで十分であり、StrictなHTMLは要らない」だのと、一概に言つてしまつてはいけないと思ひます。

企業サイトなんぞ、コーナ毎に擔當者が違つたりする譯で、デザインの統一をする意味がない場合が結構あります。また、下手に更新を樂に出來るやうにしてしまふと、仕事が減つて、企業から金を毟り取れなくなつたりするので、下請業者がStrictなHTMLの採用を斷乎として拒絶したりする場合もあるでせう(ないかな)。

そもそも、出來上がつたHTML文書を見て、適切な文書型宣言を附ける、と云ふ態度を制作者はとるべきだと私(野嵜)は考へます。

XHTMLの勸告とHTMLの仕樣

2002年8月19日現在、最新のHTMLのヴァージョンはXHTML 1.1です。しかし、W3Cが推奬してゐるHTMLのヴァージョンはXHTML 1.0です(W3Cの「トップページ」もXHTML 1.0 Transitional準據です)。

從來のHTMLの仕樣が全て廢止されてゐるかと云ふと、さうでもありません。

XHTML 1.1

最新のヴァージョンのHTMLの規格です。なぜかW3Cが「推奬するHTMLの規格」としてゐません。ウェブで公開する文書でXHTML 1.1準據を宣言する事は、何の問題もありません。XHTML 1.0 Strictと殆ど變らない内容です。

XHTML Basic

主に「モバイル用」として策定されたミニマムな規格ですが、PC向けのサイトでXHTML Basic準據を宣言しても、何の問題もありません。

XHTML 1.0

一世代前のXHTMLですが、2002年8月現在でも、W3C推奬のHTMLの規格となつてゐます。HTML 4.01を單にXML準據に書直しただけの代物ですので、Strict/Transitional/Framesetの3種類があります。2002年8月1日に誤を訂正したSecond Edition(第2版)が發行されました。

HTML 4.01

HTML 4.01は、かなり「昔」の規格ですが、obsoleteとはされてゐません。HTML 4.01で「廢止豫定」とされてゐた要素はXHTML 1.1で廢止されてゐますが、HTML 4.01 Transitional準據の文書でさう云ふ要素を繼續して使用する事は、現時點では問題ありません。

XHTML 1.0/Basic/1.1の原形となつてゐるのがこのHTML 4.01です。HTML 4.01ベースの文書は、割合容易にXHTMLに書換へられる筈です。

HTML 3.2

HTML 3.2も、規格としてはまだ生きてゐます。「多くの人の考へる以上にHTML 3.2は制約のきつい仕樣である」と云ふ事に氣を附ける必要がありますが、HTML 3.2に準據した文書を作る事は、やはり現時點では問題ありません。

ただし、「日本語サイト」では、HTML 3.2に準據する事が大概、出來ません。HTML 3.2準據の文書で、かなや漢字といつた非ASCII文字、ダブルバイト文字は使へません。かなと漢字を使つた時點で、その文書はHTML 3.2準據となり得ません。注意が必要です。

HTML 2.0(RFC1866)/HTML 2.x

HTML 2.0/2.xは、RFC2854により、obsoleteとされてゐます。新しくHTML文書を作成する際に、HTML 2.0/2.x準據を宣言すべきではありません。

ISO-HTML(ISO/IEC 15445:2000)

XHTML派の人々から「古くさい」と散々批判されてゐる規格ですが、ISO/IEC 15445:2000(所謂ISO-HTML)準據の文書を作成する事は、現時點では何等、問題ありません。

現状、XHTMLはHTML 4.01をベースにXML化されただけの代物なので、案外、記法が單純化されてゐません。body以下の記法は比較的簡單ですが、幾つかの要素は妥協的なものです。head要素の中とその屬性、DOCTYPE宣言及びXML宣言には、獨特の規則を持ちます。

HTMLの場合も或程度さうなのですが、殊にXHTMLの場合、「マーク附け」の概念だけに基いてはhead等の文書情報の記述が出來ないので、注意が必要です。

將來の規格

XHTML 2.0

2002年8月5日に最初のWorking Draft(草案)が發行されてゐます。將來、勸告となれば、この規格に從つた文書を公開する事が出來ます。

草案では、規格も確定してをらず、そもそも規格として一貫しない部分や曖昧な記述も殘つてゐます。DTDも公開されてをりません。

現状、實驗的な目的としてはともかく、汎用的な目的でXHTML 2.0に準據した文書を公開する事は、出來ません。

XFrames

2002年8月6日に最初のWorking Draftが出てゐます。HTML Framesを置換へる爲の新しい規格です。

草案ですから當然、規格としては未確定の代物です。實驗的用途以外には現状、使へません。

An XHTML + MathML + SVG Profile

2002年8月6日に新しいWorking Draftが出てゐます。XML namespacesの機構を利用して、XHTML 1.1MathML 2.0SVG1.1を一つの文書に混在させる方法の紹介です。

草案ですから當然、規格としては未確定の代物です。實驗的用途以外には現状、使へません。ただし、この「An XHTML + MathML + SVG Profile」は、單に利用方法の紹介であり、從はなければならない規格ではありません。