初出
「闇黒日記」平成13年6月28日
公開
2001-08-04
最終改訂
2003-03-07

会話文と地の文の前後の「改行」はどう区別するの?

原稿用紙では同じ様に改行であっても、本質的に区別されるべきものが等し並みに改行として表現されたものであるに過ぎない事がある。

会話と地の文との関係によって、ある改行を、「単なる強制改行」と「段落の切れ目」とに区別する事は可能である。

会話と地の文が連続する場合

1

次の例文で、会話文の直後の「改行」は強制改行である。

「と」で受けたのだから、会話とその直後の地の文は一続きの段落である。よって、この強制改行はbrで表現されるべきである。

 ダルトは、木製のスプーンでスープを一口、口に運ぶ。

「あ、結構いけるやん。これ、何のスープ?」
と聞いてみるが、おばちゃんは他の客の相手で忙しいらしく、こっちの話を聞いているふうではない。

「と」で会話を受けるのは、作者がその会話文と地の文とが一続きの段落であると意識したからである。この場合、会話文と地の文とを包含する様に、p要素としてマーク附けする。

2

以下は、作者が会話文の直後に強制改行を入れずに書いた例である。

 まあ、なんて優しいのかしら、とえり子は思ったのだけれど、紫蘭恭之介の影に隠れるようにしていたまみちゃんがするするっと不機嫌な顔を出して
「紫蘭先生はえり子ちゃんに甘すぎるわ、ご飯だったら仕事場で残り物お食いになればいのにわざわざ出迎えにでるなんて、えりこちゃんだったらタクシーで来させればいいじゃない」と唇を尖らせて言った。

会話文を受けて、「と」以下の地の文が引続き出現する。作者はここで、改行を入れずに表現した。作者は、会話文と続く地の文を一つの連続した文章だと判断した。この場合も、会話文と地の文とを包含する様にp要素としてマーク附けすれば良い。

会話文と地の文の間に断絶がある場合

一方、下の例では、会話文は一つの段落として完結したものである。その直後の地の文から独立したものである。

「ぼけないで下さい。あたしですよ、火野──火野蜜子ですよ!」

 そう言うと、腰に手を当てて胸を張る。真木教授は怪訝そうな顔をしていたが、突然ぽんと手を打つと少女を指差して叫んだ。

この場合、それぞれ別々に、p要素としてマーク附けするのが妥当。