ヤコブ・ニールセンの『ウェブ・ユーザビリティ』(MdN刊)は、ウェブデザインの爲に參考になる本です。Web Accessibility Initiative (WAI)は、より良いウェブデザインの爲の指針を示してゐます。
しかし、思想的な事はわかつても、具體的にどのやうなデザインをすれば良いのか、は、なかなかわからないものです。そこで、何か參考に出來るものはないか、と云ふ事になる譯です。
やはり、ウェブサイトを作るからには、先行するウェブサイトを參考にしたい、と考へるのが普通です。しかし、なかなか參考にすべき、良いサイトはこの廣いインターネットの世界にもありません。
そこで、發想を變へてみませう。
的確に内容を表はし、無駄のない文章。見易いレイアウト。注目すべき點に讀者の目を引きつけるデザイン。
──これらの要件を滿たしたものは、ウェブに限らず、この世界に何か存在しないものでせうか。
私の知る限り、さう云ふものは少からず存在します。それも、多くの家庭に必ずあると言切れるものです。市販の藥や化粧品の「效能書き」或は「使用上の注意」が、それです。
手もとに、「ムヒ」「サンテドウプラス」「金鳥リキッド」の效能書きがあります。いづれも、CSSによるウェブデザインをする際に、參考にして良いものです。
この手の藥品は、人體に影響を與へるものですから、使用者に注意すべき點をしつかり傳へなければなりません。さうしなければ、メーカはクレームを受けます。ですから、メーカは、狹いスペースで、必要な情報を、わかりやすく表現しようと努力してゐます。
藥の「效能書き」「使用上の注意」は、讀捨てにされる事が多いのですが、意外な事に、ノウハウの塊となつてゐると言へます。藥の「效能書き」のデザインを、HTMLとCSSとで再現するのは、ウェブデザインの練習として有益です。