制作者(webmaster)
野嵜健秀(Takehide Nozaki)
公開
2003-10-24
改訂
2004-10-16

SEO:検索エンジン最適化・その2

検索エンジン最適化

Googleは、複数のサイト間のリンクの関係を調べるほか、HTML文書を解析してその文書の内容を判断し、キーワードに対する重要度を決定する。「検索エンジン最適化」とは、後者のHTML文書の最適化の事を指す用語である。

サイト制作者は従来、ブラウザのレンダリング結果だけを重視してきた。しかし、検索エンジン最適化では「文書の構造化」が有効である事が、最近になって、各所で指摘される様になった。

重要な内容であるキーワードは、強調されたり、見出しにされたりしている事が多い。そのため、Google等はem・strongで強調された語、h1〜h6の見出しに含まれた語――地の文章から区別された「重要な語句」を特別に認識する。

Google等のその様な挙動を利用して、制作者が意図的に検索順位を上げたいキーワードを見出しにしたり、強調したりするのが、通常の検索エンジン最適化である。

検索エンジンスパム

「検索エンジンスパム」の方法は、検索エンジン側で研究され、対策がとられつつある。

検索順位を上げようとして、検索にひっかからなくなったら、本末転倒である。「検索エンジンスパム」は、やらない方が良い。

文書全体の重要性をかさ上げする

文書全体をh1やemで括って、重要であるかの様に見せかける制作者が存在する。この類の「不正な方法で検索順位を上げようとする行為」を「検索エンジンスパム」と呼ぶ。

Google等の解析プログラムは、相対的に重要な語句を、文書の中から探し出す。だから、文書全体をh1やemで括る「スパム」は、重要語句と重要でない語句とが区別できないから、「特別なキーワードがない」としか認識されない。文書全体を「重要」に見せかけようとしても、無理である。が、時々、文書を目立たせたい制作者がその種の方法をとる。

現実には、その種の文書は「故意に文書全体を重要なものに見せかけた不正な文書である」とGoogle等の解析プログラムに判定される模様である。そして、「不正な文書」を公開する「スパム」行為に、Googleは制裁を科す。検索順位が下げられたり、そもそも検索しても当該文書がヒットしなくなったりする。

文書にキーワードを埋め込む

検索エンジンのためだけの記述を埋め込んで、検索にひっかかり易くしようとする方法も「スパム」の方法としてある。

ウェブブラウザで見た時、背景色と文字の色とが一致すると、閲覧者にはそのテキストが読めなくなる。が、検索エンジンの解析プログラムには読める。そこで、閲覧者に見せる情報と関係のない語句を「見えない文字」として文書に埋め込んで、検索エンジンで検索された時にひっかかる様にする方法がある。

この方法は、一時期まで検索効率アップの方法の「常識」として、よく使用された。しかし、これをされると、閲覧者が検索した時、得たい情報でなく、ノイズとなる情報が検索結果に出てくる事になる。

そのため、検索エンジン側でもこの種の方法を排除する工夫がなされる様になってきた。解析プログラムでも、その種の埋め込みテキストを検出する機能が搭載されつつある。

また、もしプログラムにばれなかったとしても、通報があったり、スタッフが目で見てその種の文書がある事を知ったりした際、「より悪質」として、該当する文書を弾く様にするのみならず、サイトそのものの信頼性を引下げる制裁もなされる様である。

検索エンジン最適化のあり得る有効な方法

重要な語句をキーワードとしてGoogleが判断できる様に、わかりやすいHTML文書を作るべきである。

内容を充実させる事が一番である。

同時に、内容をアピールし過ぎない事が必要である。

Googleに理解されやすい構造化された文書は、普通の閲覧者にとってもわかりやすい文書となる。ユーザビリティやアクセシビリティと関連して検索エンジン最適化が語られるゆえんである。

が、これらの対策をとる以前に、より重要な最適化の方法がある事を指摘しておきたい。それは、提供する情報を正確なものにする事である。これは、検索エンジン最適化の議論以前の問題としてサイト制作者には意識していただきたい事柄であるが、SEOの観点からも有効である事を指摘しておきたい。

正しい情報を提供するのは当り前の話である。しかし、ただそれだけの事をしただけで閲覧者にとって有益になる事は、サイト制作者に案外意識されない。が、信頼性の高い情報が提示された時、「参考になる」として多くのサイトからリンクされる事はあり得る。その結果、「文書の重要性が高い」として検索エンジンの解析プログラムから評価される事は「ある」のである。

SEOの対策をされた文書であっても、内容に問題がある場合、他のサイトの制作者に評価されない場合は少くない。逆に、文書の作り方に多少の問題があっても、内容が正確で有益であるならば、評価されてリンクされる事は多い。この時、サイト間のリンクの存在が、検索エンジンの解析プログラムによって評価される。

内容がより正確な文書の方が、人のみならず検索エンジンにも高く評価される事は、結果としてだが、あり得る。人による評判は、検索エンジンの評価にも影響する。文書を作った本人の主張よりも、他人からの評判の方が、検索エンジンの解析プログラムには重視される、と言っても良い。

情報を正確にする事、文書を有益なものとする事が、ウェブで公開される文書における最高の「検索エンジン最適化」である。