iNTERNET magazine1998年11月號にある「さらば<FONT>タグ ホームページスタイルシート化作戰」と云ふ特集記事は、現在見ても全く古びてゐない優れた記事。
「スタイルシート對應のブラウザーが8割に」。
……と云ふ惹き句が、記事のトップを飾つてゐる。
1998年9月3日〜5日の間にインターネットマガジンのサイトを閲覽するのに使はれたUser Agentを調査したところ、IE3/4とNN4のシェアが85%を越えてゐたさうである。
古いバージョンのブラウザーを考慮して、スタイルシートを使ふことを今までためらつてゐた人も多いだらう。しかし、この結果を見ると、スタイルシートを活用したページ作りがやうやく實用段階に入つたと言へる
、と云ふ「結論」が書かれてゐる。
實際にはNN4のCSS對應が急場凌ぎのものでしかなかった爲に、現場に混亂を惹起したのだが。
それはともかく、この特集記事をざつと眺めてみよう。
現在のホームページ作成ソフトでは、「構造」と「見榮え」を明確に區別できず、自分の意圖しないタグが挿入されてしまふ)、「シンプルなHTMLを作る」(
<HTML>、<HEAD>、<TITLE>、<BODY>といつた必須タグのほかに、<H1>〜<H6>、<P>、<BR>、<A>だけ覺えれば立派なページが作れる)
スタイルシートをHTMLの外に置き、複數のHTMLファイルでスタイルを共有してこそ、スタイルシートの本當の價値が出る)
文章の左右に餘白を空けて讀みやすくしたいといふのはもつともだが、意味の間違つたHTMLを書くのは避けたいものだ、と云ふ解説。ここのコーナには「その他の枠線の使ひ方」と云ふ圍み記事があり、margin、padding、borderが説明されてゐる)
(TABLEは)現在のHTMLの「構造」と「見榮え」の混亂を代表するタグと言へると云ふ指摘。tableに代るレイアウト手段として、divとポジショニングを紹介してゐる。サンプルは屡々tableで作られる段組をdivとポジショニングで作成したもの。
文書型定義宣言の解説がすつぽり拔けてゐると云ふ問題があるものの、ページ數を考へれば止むを得ぬ所。かつてPC雜誌でこれほど説得力のあるスタイルシートの記事が掲載された事はなかつたし、今後もないであらうと思はれる。
すみけんたろう氏の『スタイルシートWebデザイン』や鳩丸がスタイルシート普及に關しては高く評價されてゐるが、私はこのiNTERNET magazineの記事に一番影響を受けてゐる。と云ふか、たつた10ページの中でスタイルシートの基礎から應用まで全部紹介してしまつた無署名の筆者はとんでもない人物だ。誰なのだらう。
iNTERNET magazine 1998年11月號の特集は時代を先取りしてゐたと言へよう。「HTML TIPS & TRICKS」と併せれば、現在でも最良の「スタイルシート入門」である。これ一册あれば、即日スタイルシートを使用したウェブサイトが作れる。BOOK OFF邊で100圓で賣つてゐたら、躊躇なく購入すべし。
同じ號の連載「HTML TIPS & TRICKS」にある「見出しを飾る」技の記事がスタイルシートのテクニック紹介。IE4とNN4で見出しを同じやうに表示させる爲、background-colorとcolorのほかに「border-style:none; border-width:1; margin-left:0px;
」を記述する、と云ふ「テクニック」が解説されてゐる。同時に、スタイルシート系のサイトでよく見る鉤形の飾りの附け方も解説されてゐる。
なほ、この號の別册附録では、各ブラウザのCSS對應状況が簡潔にまとめられてゐた。