制作者(webmaster)
野嵜健秀(Takehide Nozaki)
公開
2000-09-03
改訂
2004-08-11

CDの構造について

レコードに代り普及したCD。手輕なバックアップ手段として普及してゐるCD-R。

このCD/CD-Rには、意外と知られてゐない取扱上の注意點があります。

記録層側

CDやCD-Rを取扱ふ時、記録層側に傷を附けないやうに注意すべきだとお思ひではないでせうか。或は、記録層側に傷を附けると、讀取れなくなると思つてはいらつしやいませんか。

實は、記録層側に關しては、それ程注意して取扱ふ事もありません。勿論、ざらざらになるまで傷を附ける──などと云ふ事は論外ですが。

CD/CD-Rに多少の傷が附く事は規格策定時點で豫想されてをり、CD/CD-Rにはエラー訂正機能が實裝されてゐます。CD-Rは記録層側に傷が附いてゐても、それがちよつとしたものならば、讀取り可能です。放射状の方向の傷ならば、CD/CD-Rでは大して問題になりません。

圓周方向の傷は問題になります。連續したクラスタが讀取れない場合、エラー訂正機能は面倒を見切れなくなります。しかし、そのやうな状態になつてしまつたCD/CD-Rでも、研磨サーヴィスを利用する事で復活させる事が出來ます(勿論、出來ない場合もあります)。

レーベル面

CD/CD-Rで本當に注意しなければならないのは、レーベル面の傷です。

實は、記録層側の基盤は比較的厚いものであり、傷が附いても記録層自體にまで達する事は滅多にありません。

逆に、レーベル面側の保護層は、極めて薄くなつてゐます。保護層と反射層は大抵の場合一體になつてゐるので、レーベル面をボールペンやねぢ囘しなどで傷を附けると、すぐに記録層に達します。

レーベル面側に傷が附くと、あつさりCD/CD-Rはお亡くなりになります。CD/CD-Rを取扱ふ際に注意しなければならないのは、レーベル面に傷を附けない、と云ふ事です。

燒き損じのCD-Rが手許にあつたら、試しにレーベル面に傷を附けてみて下さい。保護層・反射層が一體になつて基盤からぱりぱりと剥がれます。面白いやうに剥がれます。レーベル面側は極めて弱いので、注意して下さい。

また、やつぱり要らないCD-Rをコースター代はりに使つてみませう。熱いコーヒーを入れたカップを置いたりしてみて下さい。數日で保護層がばりばりに剥がれてきます。

金屬の保護層・反射層と、樹脂の基盤とは、熱による伸縮率が違ふので、高熱と低温の状態を行つたり來たりさせれば、CD-Rはすぐに「いかれ」ます。特にCD/CD-Rを熱いものに觸れさせないやう注意しませう。

記録層

CD-Rのレーベル(保護層と反射層)を全部剥がすと、青い色素の塗られた基盤だけが殘ります。この「青い色素」が記録層です。いやはや、「層」などと言へる程、御立派なものではありません。ただ、基盤に色素が塗られてゐるだけ。厚みなんて全くありません。

レーベルを剥がして「青い色素」を目の當たりに見て下さい。「こんなものにデータが保存される」のか、と呆れる事、必至です。この色素に「燒き」が入れられる事によつて、データが記録されます。

さて、この色素は、シアニン系とフタロシアニン系に大別されますが、水に溶けます。意外な盲点ですが、CD-Rは水に弱い、と言へます。

多少水を被つたくらゐでは大丈夫ですが、金魚鉢に抛り込んでそのまま何日も置いておいたらどうなるか、わかつたものではありません。熱帶魚マニアのPCユーザは御氣をつけ下さい。

參考資料

追記

そもそも、色素以前の問題として、基盤の問題があります。水分をかぶると、ポリカーボネートの基盤が変形・変質する(事がある)ので、よろしくありません。