制作者(webmaster)
野嵜健秀(Takehide Nozaki)
初出
「闇黒日記」平成二十二年十月十九日
公開
2010-11-01
改訂
2018-04-05
參考文獻
荻窪圭・牟田拓『'93前期版 よいパソコン 悪いパソコン』(JICC出版局)

1990年代のソフトウェア

OS

OS/2

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事實上IBM機專用だつたOS/2が初めて互換機での動作を認めたのがVer 2.1。DOS/V專門誌のPC WAVEとDOS/V magazineの附録CD-ROMにOS/2 J2.1のβ版を收録させる(但しPC WAVEは取次からCD-ROMの添附を認められず、希望者に郵送する形を取つた)など、日本アイ・ビー・エムは積極的にプロモーションを行つた。畫像は1993年9月のカタログ。
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IBMはOS/2 V3に「WARP」の愛稱を附けた。聊か垢拔けないGUIは相變らずだが、アプリケーションランチャーのLaunchPadがデスクトップに置かれるやうになつて、使ひ勝手の向上が圖られた。日本アイ・ビー・エムは、サードパーティ製のアプリケーション不足を補ふべく、統合アプリケーション「IBM Works」を始め、かな漢字變換プログラム「WritingHead/2」を收録したCD-ROM「Bonus Pak」を添附してV3-日本語版を發賣した。DOSに導入濟みのWindows 3.1をOS/2側でも利用する「OS/2 Warp V3-日本語版」(通稱赤箱)とWindows 3.1を内藏する「OS/2 Warp V3 with WIN-OS/2-日本語版」(通稱青箱)の2種類のパッケージが用意された。1995年2月のカタログ。
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山口智子を起用したOS/2 Warp V3。Microsoftと對立してゐた當時のIBMは自社OSのOS/2に力を入れてゐたが、Windows95日本語版の發賣を控へ日本アイ・ビー・エムも熱心にセールス活動を行つた。1995年3月のカタログ。
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OS/2 WARP V3のアップデート版3.01は「スペシャル・キット2」として發賣された。Windows 3.1アプリケーション・サポート機能(WIN-OS/2)を含まない「赤箱」相當のパッケージで、ユーティリティやドライヴァを收録したJ_Pocket2とBonusPakのCD-ROMが添附される。1995年10月のカタログ。
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「OS/2 Warp V3(3.01)スペシャル・キット2」に一太郎 Ver.5/R.1 for OS/2、筆ぐるめ for OS/2 Warp Ver.2.0、乗換案内全国版 for OS/2、SIMCITY CLASSIC FOR OS/2、Galactic Civillizations、辞スパ for OS/2等、計11種のアプリケーションと、山口智子フォトCD集・OS/2テレビ・コマーシャル動画やクリップアートをバンドルした、30000本の限定版が「OS/2 Warp 32ビット-まるごとCD」。1995年10月のカタログ。
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WARPのリリース。WINDOWS WORLD EXPO '96に参考出展された際のもの。1996年5月現在とある。Windows95への對抗馬としてアイ・ビー・エムはOS/2に隨分力を入れてゐた。
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OS/2 WArp 4はなかなかの力作だつたが、既にWindowsの優勢がはつきりしてをり、前ヴァージョンほどのプロモーションが行なはれなかつた。アプリケーションランチャーとして、LaunchPadに代へてWarpCenterを採用。IBM製のJavaを標準搭載。當時としては充實したネットワーク機能を持ち、インターネットへのアクセスが容易なやうに設定されてゐる事が賣りで、Netscape Navigator for OS/2日本語版を利用可能な事もセールスポイントだつた。畫像はVoiceTypeを標準搭載したOS/2 WArp 4 日本語版のカタログ。日本語音聲認識機能のVoiceType for OS/2 Warpを標準で搭載してゐた。音聲によるデスクトップの操作や、文字の入力が可能。1997年6月のカタログ。
OS/2 Warp 4 日本語版(VoiceTypeなし)ユーザーの皆さまへ(當時配布されたアップグレードの案内)

Windows 3.1

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英語版(1992年4月)から1年遲れで發賣されたWindows 3.1。マイクロソフト版は1993年5月18日に發賣された。發賣に當り、MS製品のオフィシャルユーザに對して優待キャンペーンが實施されてゐる。同時に、有名ななすび型のマウス「Microsoft MOUSE Version 2.0」が發賣された。1993年4月のカタログ。
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NEC版Windows 3.1は、マイクロソフト版に先行して1993年5月12日に發賣された。NECから發賣されたPC-98向けWindows 3.1は、NEC製のFontAvenueのフォントとかな漢字變換プログラムのNECAIが追加されてゐる。98MATE(PC-9821Af・Ap・As・Ae)、98MULTi(PC-9821Ce)、98NOTE(PC-9821Ne)にプリインストールモデルがあつた。1993年7月のカタログ。

WindowsNT

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畫像はWindowsNT 3.1のカタログ。WindowsNTは、IBMと訣別したマイクロソフトが獨自にOS/2を發展させて作り上げたOS。DOSの上で動くWindows 3.1と同じ外觀を纏つた事から、最初のWindowsNTでありながら、3.1のバージョンを名乘る。

Windows95

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東芝が行つたWindows95發賣直前のキャンペーン。WINDOWS95は東芝PCが、いちばんのり。Windows95日本語版のプレリリースバージョンを先着5000名に提供。またWindows95アップグレードキットの無料送付を受附けた。1995年9月15日から1995年12月31日までに東芝のPCを購入した人のみ應募可能。

TRON

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1Bは「超漢字」なる愛稱を使ひ始める前のBTRONの名稱。當時としては結構驚異的な機能を持つてゐた。外觀が垢拔けない事、用語が獨特である事もあつたが、動作環境の制約がきつく、何よりアプリケーション不足で、一般には普及しなかつた。

日本語Linux+JE2

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Linuxカーネル(PC/AT向けとFM TOWNS向け)、Linux初期のディストリビューションであるSLS/Slackware、英語環境に組込んで使ふ日本語化追加ファイルのセットであるJE、及びその他のアプリケーションやドキュメントを收録したLaser5のCD-ROM。現在はインストーラ一發で導入出來るが、この頃は一般人にはまだまだ敷居が高かつた。1994年3月版。

アプリケーション

WXII

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エー・アイ・ソフトが開發したかな漢字變換プログラム。カタログには、Windows 3.0専用、プロセスタイプ日本語変換WXII+と辞書共有が可能ユーティリティの充実、とある。DOS上で動くWindows3.0で、かな漢字變換プログラムは、DOS用のFEPが使へたが、機能の制限があり、Windows專用のIMEが待望まれてゐた――そんな時代である。WXシリーズは、フリーソフトのWXPを先祖に持ち、PC-98で發展して來たが、DOS/Vに移植され、Windowsにも對應を果した。Windows3.0用のIMEとしては、バックスがVJE-γを發賣した他、幾つかのメーカが樣々な製品をリリースしてゐた。

ゲーム/マルチメディアソフト

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Macintosh用CD-ROMソフト「卒業R Graduation Real」。日めくりビジュアルソフト“B.G.I.シリーズ”。
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3DO專用シューティングゲーム「鉄人」の續篇「Tetsujin RETURNS」。3DO版のみならずMacintosh版、Windows版が發賣された。前作に比べ高速化され、ゲーム性は高まつた。ただ、嶋田久作がマッドサイエンティストを演じた前作に比べて物語性は低下してゐる。畫像は宣傳用のメインビジュアルを使つた葉書。なほ前作「鉄人」だが、日本語版は實は未完成状態で出荷されてゐる(製作が間に合はなかつた爲)。結末部を含む完全版は英語版でないとプレイ出來ない。