制作者(webmaster)
野嵜健秀(Takehide Nozaki)
公開
2002-09-14
改訂
2007-04-09

「Pre-HTML」とは何か

議論

「説明のための説明」としてのPre-HTML(?)

ISO/IEC 15445:2000(ISO-HTML)の仕様書には、「説明のための説明」としばしば解釈される「Pre-HTML」なる仕組が存在します。「説明のための説明」と言ったのは、仕樣策定の際、文書の階層構造を、明示ではなく暗示で実現するために、この仕組が採用された経緯があるからです。

多くの場合、現実に存在するオーサリングツールが、この「Pre-HTML」の定める挙動をとる事はない、と推測されます。

「Pre-HTML」の過程の実行

ISO-HTML準拠の文書をオーサリングする際、制作者やスクリプト類が「Pre-HTML」として記述されたプロセスを規定通り実行する可能性は、なくはありません。しかし、「Pre-HTML」の工程を実現できるオーサリングツールは現状、存在しないか、するにしても著名ではありません。

Perlなどによる生成スクリプトを通してPre-HTMLの文書を正式のISO-HTMLの文書に変換する方法が、実現可能で実用的な方法として、あり得ます。

実際の工程

結果として外観がISO-HTML準拠となる文書は、素のテキストをテキストエディタで手動でマーク附けする事でも生成され得ます。ただ、この場合、条件・制約があります。

「結果としてISO-HTML準拠となる文書」を生成するには、文章の執筆者は意識して整った文書をあらかじめ、作成しなければなりません。HTML文書の制作者は、階層構造の整った文書をもとに、マーク附けを行なって、HTML文書を生成する必要があります。

ここで、「Pre-HTML」は、「制作者が階層構造を意識して文章を書く」思考過程を、プログラム的に再記述した説明とみなす事も可能です。

もちろん、仕様書の定める「Pre-HTML」による生成過程をプログラム的に実践すれば、ISO-HTML準拠のHTML文書が生成されます。しかし、そのプログラム的な実践は、制作者の思考過程をプログラム的にシミュレートないし再生したものと見る事もできます。

まとめ

参考:規格で定められた文書の生成過程

見出しなどの文書構造に誤のない文書を生成するため、ISO/IEC 15445:2000では事前に「Pre-HTML」と呼ばれる「文書構造の明示された構造化文書」を作成すべき事の規定があります。

「Pre-HTML」では、HTML 4.01に存在しないdiv1〜div6の要素で文書構造を明示します。

nirui.com
Pre-HTML要素:HTMLリファレンス 〜2nd New House〜

ここからそれらdiv1等の記述を削落とす等の処理を経てHTML 4.01互換の「ISO-HTMLの正しい文書」を生成します。