残暑お見舞い申し上げます。

 

 猛暑がつづいています。一雨あったら窯を焚こうと思っているのに、降りません。夕立くらい来てくれないかしら。
 そんなわけで、連日お昼は素麺の日々。

それでも器を変えると 同じメニューもちょっと気分がかわります。
瓜形の鉢に氷りゴロゴロの素麺。毎年新しい蕎麦猪口を一つは作るのですが、今年はこの染付と鉄絵の「朝雨」蕎麦猪口です。柳の細枝に、色絵の水玉が飛んでいます。

 柳に朝の雨とくると、王維の有名な詩「渭城の朝雨軽塵をうるおす/客舎青々柳色新たなり」を思い出しますが、そこまで考たわけでもありません。この蕎麦猪口で冷茶を飲んだりもします。すると内側に底まで垂れた枝が透き通って見えて涼しい印象です。林の中の泉に口をつけるような気がします。

 お隣の小さな盃も新作です。写真では薄味が好きなので出汁を薄めるのに水を入れていますが、ぎゃくに、食べているうちに薄まる出汁を注ぎ足すのにもいいかも。勿論、冷茶、ぐいのみ、なんにでもつかえますが。
 薬味を入れた四角い小皿も新しいデザインです。暑い時は、染付も、がっちり書き込んだものよりこのくらいさらっとしている方が涼しいかもしれませんね。俳句「猿蓑」の宗次の句「じだらくに居れば涼しき夕べかな」ってところでしょうか。

 新涼やひそかに器鳴ることも  おるか

少しは涼しくなって欲しい希望を込めての季語ですが、まだまだ暑い昨今、皆様どうぞご自愛くださいませ。