いわしのかばやきカチャトーラ

 

 雨は嫌いではないけれど、銀鼠色の梅雨の日々はちょっと気がめいります。せめてテーブルクロスを明るくして、お昼のパスタをいただきましょう。

 カチャトーラは猟師風という意味だそうで、ようは手間のかからない簡単料理ってことですよね。トマトが沢山手に入った時にカチャトーラの素を作っておくと便利です。冷蔵庫の中の野菜や香草を炒めてトマトで煮込む。あとは、好みの味付け、それだけです。

 スーパーに行ったら、イワシの蒲焼を売っていました。試食したら薄味で、お醤油っぽくもありません。「いける!」と思いました。
 さっそくカチャトーラの素に投入!どちらも火が通っていますから熱くなって、なじめばいいの。

 スパゲッティが茹で上がるまでの間に全部出来ました。パスタってお手軽なのが昼食にはいいですよね。こうなったら白ワインも開けちゃって、ドルチェ・ヴィータ〜♪

 お皿は縞模様のツバの染付八寸皿。このお皿は見込みの模様に、桜と鼎、そして菊の三種類があります。カチャトーラの入っている赤絵の平鉢も出番の多い器です。大きさが手ごろな上に、赤という色は食欲を刺激してくれますしね。サラダもお馴染みの荷葉形小付けです。蓮の葉の形で、見込みには小さな紅い魚が遊んでいます。

 魯山人は「器は料理の着物である」と言ったとか。着る物はちょっと着くずすのが粋なもの。お料理もあまりきっちり造りこんであるとなんだか辟易します。お庭もいじりまわして刈り込んであるより、自然な風情が好ましいし。私の趣味なんでしょうね。風情とか風味といった捉えどころのないものは、あまりいじっているとどこかに消えてしまうような気がする。

 

  よその家の煮炊きの匂ひ走り梅雨  おるか

 

2012年6月4日