新茶の香り

 

 夏も近づく八十八夜〜♪
新緑の季節になりました。八十八夜摘みの新茶もそろそろ出回る頃です。
 古茶の味も深みがあって美味しいけれど、新茶の香りは格別に嬉しいものですね。
 急須の中の新茶の緑があまりきれいだったので食べてみたくなりました。実際、出がらし状態になった葉の中にもまだまだ栄養分が残っていると聞いたことがあります。しらべてみると結構色々なレシピがあります。かき揚げにしたり、ふりかけにしたり。
 そこまでしなくても、ちょっと混ぜるだけで、季節感が楽しめますね。

 写真手前のカツオのたたき。かけ汁にお茶の葉を混ぜると、鰹の匂いを消して爽やかな感じです。六寸皿は新しく作ってみたもので、銘「ネオン・ライツ」です。
 右側の飴釉のお皿は、安齋厚子・新さんの作品です。豆御飯の焼きおにぎり。お味噌に茶の葉をまえて見ましたが、お味噌の香りが強くてお茶の風味はほとんど分かりませんでした。でもおいしい。
 奥の瑠璃ガラスのお皿は、中西晃さんの作品です。バイ貝と加賀すだれ麩の和え物。青ぬた代わりにお茶の緑でほのかな苦味を楽しみます。すだれ麩は薄味で煮てあります。

 こうしてみると、柔らかな新茶の葉は、なんにでも使えて、苦すぎることもなく、臭みを消してくれて爽やかで、食材としてもなかなか面白いじゃないかと思いました。

 今回は、曽宇窯製品ばかりでなく他の作家さんの器をつかってみました。
ヴァライティは暮らしのスパイス。何事にも変化は欲しいものですものね。

 はじきの入った気瀬戸風湯呑みは角有以さんの作品です。たっぷり入るので、愛用しています。
 中西さんのお皿の瑠璃色はひきこまれる様な宇宙的深さに耀いてテーブルの上に出すだけで魅了されます。このお皿に盛るとどんなお惣菜でも極上の一品に見えます。
 安齋さんの飴釉は、大地の色でしょうか。落ち着いていてしかも澄んでいる。作者の印象そのままです。
 九谷焼にも吸坂釉といって鉄錆の釉薬があります。私も何度か挑戦しましたが、なかなか安定しない、難しいものでした。安齋さんの飴色、きれいですね。
 うるわしの五月。どこにもいけないけれど、ベランダに能登の七輪を出して、焼きおにぎりの続きをしようと思います。そうだ朴の新葉でつつんでみようかな。

 いとけなきものの香残る新茶かな  おるか

2012年5月7日