茗荷寿司

 

 木犀の香りが漂ってきます。セーターの手触りの懐かしい季節になりました。
 夏の間、素麺の薬味に大活躍してくれた茗荷も花をつけています。淡い黄色の妖美な花。一日しかもちませんが、幼児の掌のようなぷっくりした茗荷の子から咲きだすさまは不思議な夢のようです。

 とはいえ、茗荷、まだまだ採れます。お隣のじーちゃんから沢山戴いたので、ムシャムシャ食べられる調理法ないかと考えました。
 そこで茗荷寿司。

 茗荷は軽く湯がいて、生姜と一緒に、お酢に漬けておきます。するととてもキレイなモーヴ色になります。
真ん中の蕾の部分をポキッと取って刻み、生姜も一緒に御飯に混ぜて寿司飯を作ります。それを茗荷の皮(?)につめてできあがり。とっても簡単です。御飯にシラスとか、子鯛の笹漬けとか混ぜるのも、いけます。

 手前の小さな茗荷にはおからの炊いたのを詰めてみました。おからは栄養があってお安くて、良い食品だけど、なんとなく食べにくいですよね。茗荷に詰めるとお箸で食べやすく、茗荷の香りと良く合ってなかなか美味しいものです。おすすめ。秋の日の行楽のお弁当にいかがでしょう。

 茗荷寿司は菊の葉向付に、おから詰めは稚龍小皿にのせてみました。
稚龍とは子供の龍のことです。小皿の中を飛び回って遊んでいます。

 それでも、おじーちゃんの茗荷、まだまだあります。おじーちゃんいつも季節を摘んでくださってありがとう。

 

 山苞を色絵の皿に秋時雨  おるか

2011年10月3日