夜桜で一献
暖かい地方から桜の開花の知らせが届くようになりました。ここ北陸では花にはまだ少し間があるようです。
薄い瑠璃釉に金彩の夜桜文様手付鉢で、少し速い花見気分を楽しみましょう。
手付鉢には小鯛の笹漬に野蒜。小鯛の笹漬はメーカーによってしょっぱさが違います。今日は生姜醤油を一滴垂らしました。
手前の小鉢は薇と高野豆腐の炊き合わせに山葵の花添え。
奥の馬上盃は甘草の芽のおひたしに筍。青いものはみんな庭で採ったものです。山菜の季節は採集経済の原始的な生活が楽しめます。
転がった盃に、金彩で「採山飲河以養性」と書きました。
山に採り、河に飲みそうして本性を養う」。気持のいい言葉ですね。誰の言葉か知りませんが、清時代の印譜にありました。
拙宅の前には川が、後には山がありますが、なかなかこのように酒酒落落の境涯にはたどりつけないものです。
徳利の三人の舞姫と、春の夜の一期の宴。李白の「月下独酌」を気取ります。
前略
暫く月と影を伴い
行楽 須らく春に及ぶべし
我歌えば月徘徊し
我舞えば影繚乱す
後略
須くは「べし」と結ぶべし「すべからく」を「全て」の意味で使っているのをまま見受けますが、あれは単なるお間違い。
未曾有の災害に襲われた日本列島ですが、それでも桜は咲きますね。今更ながら無常のの世の哀しさに胸ひしがれる思いがしますが、この一刻一刻を大事にいつくしんで行きたいと思います。
瞑ればこの世彼の世の花の岸 おるか
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