サラダ散らし寿司

 毎日、新しい草の芽が顔を出して、庭を覗くのが嬉しいこのごろです。雛祭りもあるし、暖かい地方から、そろそろ桜のたよりもとどきます。今年はどんな桜に会えるかと思いをめぐらすあの桜このさくら。桜は部屋の中で思うのもまた楽しい。庭の辛夷も桃も気がつけば、蕾が随分大きくなっています。

 桜より桃に親しき小家かな  蕪村

そういわれてみれば、確かに桃の花はどこか鄙びた味がありますね。桜が玲瓏とした美女ならば桃の花はほっぺの赤い素朴な少女という感じでしょうか。

 ありあわせの材料で簡単散らし寿司をつくりました。寿司飯さえ作ればあとは好きなものを上に載せるだけ。その割りに華やかな雰囲気もあるので散らし寿司ってべんりです。

 スモークサーモンに錦糸玉子、スプラウトなどのっけてレモンをそえてもうできあがり。寿司飯のお酢はポン酢にしましたが、レモン酢やグレープフルーツ酢など果物の酢がいいですね。柚子もすてき。

 夏になれば、胡瓜やトマトに生ハムをのせ、ライムなど搾ってサラダ御飯もさっぱりしていておいしいです。

 残念なのは、庭の山椒の木の芽が生え揃っていなかったことです。

 写真右奥の染付桜文様小鉢のなかは菜の花と鶏の辛子和えです。

 この小鉢はまず轆轤でいったん挽いて、それから手でもう一度撫でて柔らかなゆがみを添えます。外側には蕨手唐草を描いて、素朴な感じ、鄙びた感じを だしたかったのです。あえて、ちょっとくずすのって日本的だと思いませんか。

 完璧、勿論けっこう。でも不完全も又面白い。○か×かの二分法からこぼれ落ちてしまうところが、美味しい所じゃないでしょうか。

  

 遠目にも軒崩れをり桃の花  おるか

今年の雪でいぜん借りていた古い家の屋根が落ちました。この句は実景なんです。