鱈のみず煮

 近くの橋立漁港に揚がった新鮮な鱈があったので水煮にしました。冬の 北陸から東北にかけての海岸線には「鱈鍋」の看板を掲げたお店が櫛比しています。おばちゃんたちが永久運動で手招きしてくれます。魚偏に雪という字のとおり、鱈料理は北方のグルーミィな光が似合いますね。

 今日は、パウル・クレーのレシピに習って簡単水煮にしました。クレーの日記によると1935年の2月1日に鱈を料理した、とあります。
クレーは楽器を弾くように軽やかに楽しげにお料理をしていたそうですね。

 家庭料理らしく簡単なレシピです。下ごしらえした鱈を、つぶしたニンニクといっしょにいためやきにします。其処に簡単スープ(?)をかけてちょっといっしょに煮るだけ。

 スープは、茹でたじゃが芋に少し水を加え、スープのもとでも塩コショウでも、お好みの味付けをします。其処に小分けしたカリフラワーを入れてお酒、もいれ、カリフラワーに火が通る頃にオリーブオイルと、コクが欲しければバターをいれます。その頃にはじゃが芋が煮崩れて適当なとろみがついているので鱈のうえにそっとかけて、パセリをくわえて軽く煮ます。これでできあがり。ベシャメル・ソースを作るよりずっと簡単で素朴な風味があります。

 私はパセリが好きなので山ほどいれます。パセリが苦手な向きには、カリフラワーと一緒に入れて煮込んでも、鱈と炒める段階で入れても、かまいませんが、パセリの風味と鱈が似合うと思うので野菜としてたっぷりつかってほしいところです。パセリの太い茎はじゃが芋を茹でる時に一緒に入れておくと、残ったお芋でポテトサラダするときなど香りがついていていいものです。
 今回は手元にあった日本酒を入れてしまいましたが、白ワインを使って爽やかな酸味を強調するために、レモンなど添えてもまた雰囲気が変わります。

 お皿は染付のツバのある形の7寸皿。家で使っている見本なので左側に窯切れがあります。普段使っているのは大概そういった”わけあり”の器なんです。

 猫雛の五人囃子の売れ残り、肉球ボーイズ がセレナーデを歌ってくれています。

 二ん月や一人の卓に雲の影  おるか

2010年2月1日