師走のある日

 

 街に出てみるともうクリスマス商戦真っ盛り。それでも誰かのためにプレゼントを買うのは楽しいものです。更級日記ではないけど「まめやかなるものはなのめならむ」となにか夢のあるものを捜します。

 トルーマン・カポーティに、名前は忘れてしまったけれど、忘れられないクリスマスの短編がありました。

 少年の日のクリスマス、預けれられた家の、やはり、寄る辺ない身の上の叔母さんと、一年間つつましくためたお金でケーキを焼いて、その年 新聞などで見た、気の毒な人たちや良いことをした人たちに、おくるのです。そしてすっかりお金のなくなった少年と叔母さんは、ありあわせの紙でつくった凧をプレゼントに交換し合い、クリスマスの岡の上で凧揚げをする。そんな話でした。寒い風にあがる二つの凧の向こうの空の青がいかにも美しい。カポーティもこんなきれいな物語を書いたんだなと感心する掌編でした。

 クリスマスのお話しは色々ありますが、子供の頃は、デイケンズのクリスマス・キャロルの主人公、どけちなスクルージさんのお話も大好きでした。ケチのおかげで三人の妖精(?)に会えたのなら、私もケチしてみようかと思ったくらいです。

 クリスマスは古くからの冬至の祭りの上に、パランプセストのようにキリストの誕生日を重ねたらしいですが、暗く寒い十二月に緑濃い木を飾ることは人の心に訴えるものがあるのでしょう。こういうお祭りがなかったら冬は淋しすぎますものね。

 さて、写真は、いただいた冬野菜の小蕪のシチューとグリーンサラダ。それに白菜の芯の橇にのったミニ・トマトのサンタさん(の、つもり)です。橇のうえにはスモーク・サーモンのとんぶり和え。陸のキャビアといわれるとんぶりですが、本物のキャビアをまぶせば、りっぱなパーティー用の メニューになりますね。

奥の赤絵の八寸皿は、見込みの模様が鶏頭になっていますが、次からは霊芝に変更の予定です。

  冬雲雀ロートレックのレシピなど  おるか

トゥールーズ・ロートレックは料理のレシピを色々残しています。「修道女のおなら」と言うお菓子など、いつか作ってみたい。