山里

 北陸もようやく春めいてきました。ちょっと縁側でお茶でも、という気分になります。写真は加賀の名店、福文のお菓子。銘は「山里」です。ほのかな残雪のしたに萌す春の気分。薄紫は菫でしょうか。「山路来てなにやらゆかし菫草 芭蕉」の句などおもいだします。

 山水を汲んで、お薄でも点てましょう。それにはまず熊よけの鈴を腰につけて…と時間がかかりますね。しかし楽しみは手間ひまをかけてこそ生まれるものですから。星の王子様のきつねくんも言ってましたね「そのために時間をかけることによって、その相手が特別の存在・仲良し になるのだ」って。

 私も時間をかけて湯を沸かし茶を点てて、この御菓子、いえ動き始めた季節と仲良しになろうとおもいます。

 水音のなかに村あり花すみれ  おるか

2009年3月3日