花散らし丸長皿
石川県の驚異の名産「ふぐのこ糠漬け」
あらなんともなや昨日もすぎてふくと汁 芭蕉
江戸時代にはご法度も禁令もでた、おいしいけれどもあたると怖い河豚。なかでも猛毒の卵巣を糠漬けにして食べてやろうといったい誰が考えたのか。その人物の勇気というべきか食い意地というべきか、おそれいりますね。二年もかけて丹精込めて漬け込むのだそうです。
恐る恐る口に運ぶと、意外にも臭みもそんなに強くなく、辛いといってもむしろ上品なあじわいです。しかしほろほろと口に溶けてゆく卵一粒一粒に凝縮された旨味成分は口中に縦横無尽。一粒の中に宇宙がある!と大げさなことを言いたくなるくらい遥か彼方まで広がってゆきます。
さっぱりした小蕪の柚子風味酢の物と大葉の緑を添えてみました。それにしても発酵食品はさまざまありますが、猛毒を旨味にかえるレアさは譬えてみれば神無月の白桔梗というところでしょうか。たまたま庭にさきました。
河豚の子をふと食べもして返り花 おるか
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