｢あたたかし｣の巻

発句　　　あたたかしけふはいづこの水を飲む　　おっとせい
脇　　　　　　　蝶の軌跡を導となして　　　　　　　とびお
三　春　　　春分の太陽たゆたう午後一時　　　　玲奈
四　雑　　　　　大歯車に噛む小歯車 　　　　　　天気
五　月　　　粉碾いて打つて茹であげ月祀る　　　言爺
六　秋　　　　かりがねの声遠くに聴いて　　　　　山猫
初裏
一　　　　　　　うすずみの夢のなかまで真葛原　　　おるか
二　秋 　　　　　濁り酒持ち化かされに行く　　　　　迷鳥子
三　雑　　　　ヨガエステエアロビックスダイエット　　　言爺
四　雑恋　　　　特典付きのブライダルフェア　　　　　とびお
五　雑恋　　　いいのかい仕事しかないおいらでも　　　洗濯機
六　雑恋　　　　先の世までは約しかねつも　　　　　　迷鳥子
七　夏　　　　葉脈のひりひり赤し若楓　　　　　　　九鼠
八　夏月　　　　弓張月に蛇の衣懸け　　　　　　　　言爺
九　雑　　　　偉丈夫の背の刺青に南無の文字　　天気
十　雑　　　　　　慮山嵩山煙雨あまねく　　　　　　おるか
十一　花　　　帰り来て今宵はひとり花を愛で　　　山猫
十二　春　　　　あてどもなしに上がる風船　　　　　九鼠
名残
一　春　　　　血圧のことも忘れて馬糞海胆　　　　天気
二　雑　　　　　投げ縄名人牛をつかまえ　　　　　山猫
三　雑　　　　金鉱の地図ポケットに皆西へ　　　　言爺
四　恋　　　　　　サイズ６の汝が靴盗りて　　　　　　おるか
五　雑恋　　　少年を愛し地獄の季節とも　　　　　言爺
六　冬恋　　　　寒雷が裂くまだ柔き胸　　　　　　　玲奈
七　冬　　　　　枯野にも似て一枚のレントゲン　　　天気
八　雑　　　　　　獄卒めいて吠えかかる犬　　　　　　洗濯機
九　雑　　　　　連敗の馬また負けて拍手され　　　　山猫
十　雑　　　　　マトリョーシカの芯もてあそぶ　　　　とびお
十一　月　　　竹篭に捕らへし月の痩せ細り　　　　　おるか
十二　秋　　　　ジェンダフリーを拒む相撲は　　　　言爺
名残裏
一　秋　　　　　いつからかわが人生は木の実独楽　　　山猫
二　雑　　　　　　それと気付かぬほどの香燻く　　　　　洗濯機
三　雑　　　　　燭透けて几帳の裾濃ふかまりぬ　　　　言爺
四　春　　　　　　物売りの声もかぎろひの中　　　　　玲奈
五　花　　　　　釈尊が産湯つかひし花堤　　　　　　洗濯機
挙句　春　　　　月日いづれも美しき春　　　　　　言爺

　


句会の様子は連句会場（ｂｂｓ）のログ（825〜　）にあります。

前回の「越前水母の巻」と同じく、交代の裁きで｡

◎…投句の締め切りは、捌きのあった次の次の日の夜９時
◎…捌きはその日の１２時までに

を基本として、捌きの人の都合の悪い場合は、自由に締切日時を変えてください｡

同字のことは、禁止というより自ずと、ダブらないほうが面白いのではないでしょうか？、四三のことも、禁止はしないまでも、四三がやたら続くなどは興がないですよね。僕は、そういうふうに解釈しています｡

2004/02/23〜2004/05/22