獅子沓冠 「新涼、秋草尽くし」
おるか
新 新涼や徳利にあをき馬逃げる る
はや山の端にくずる月影 げ
(くず)
り 略式の名で四股を踏む草相撲 (なでしこ)
視線の刃をみなへし折りに に
(をみなへし)
や やや暗き地窖にワイン眠らせて
(きちかう)
口をすすぎて帰る人妻 ま
(すすき)
う 歌姫がまつかな夏の薔薇を乞ふ (かまつか)
筒鳥うたむ射てまゐらせう う
(りうたむ)
や やがてそむくけはいも見えぬ夕まぐれ (むくけ)
すれんだあさが仄かにゆらぎ き
(あさがほ)
と 問ひもまた答へも微塵冬の波
(もみじ)
これきり人は二河白道を を
(きりひとは)
く 黒塚の物憂きふしはかまはねど (ふしばかま)
ポトと水ひき歩むは井蛙 あ
(みずひきみ)
り 繚乱と彼の世も花の散りぬらん (らん)
この盃は昨日の蝶に に
(はき)