「夏至祭に寄せて」 絵馬  (2001/06/21)

 即興で、独吟半歌仙を詠んで見ました。発句をそのまま冠として、折句仕立になっています。(絵馬、水族館ログ 574 )

な   夏の日やうつわ歳時記水青し
つ     蔓の葉裏の白き木天蓼
の   野馬追へる武者旗竿をひらめかせ
ひ     人の命を惜しむこの頃
や   八重垣に籠る我が身を照らす月
う     嘘恥づかしき露草の夜
つ   辻相撲とる男らは無一物
わ     山葵大根おろす三下
さ   寒々と田の面に風の紋立ちて
い     いまひとたびと老いらくの恋
じ   ジキタリス忍ばせ夢は虹の橋
き      麒麟の首の月影涼しき
み   陸奥の黄金はいずこ細き道
ず     雀隠れを沓に踏み行く
あ   赤き絵の器に盛りし蕗の薹
お     遅きを愛づる北国の春
し   真如なる御堂に花は永遠に咲き

挙句   青き桜も曽宇窯に生る  

 

半歌仙 「絵馬堂の」 おるか (2001/06/22)

え   絵馬堂の軒より夏至の月のぼり
ま     まちくたびれて青桐に寄る
ど   ドーナツの穴を大事に女の子
う     歌口古りしオカリナ一つ
の   能面の翳るは雨意のごとくにて
の     野曝しになどと貴種流離譚
き   きさのきのごとき月上げ古志の山
よ     他所の畑に黍嵐聞く 
り   竜宮に異変野分けの海に出て 
げ     下品下生に心のどやか
し   白妙の手巾万金に値すと
の     喉の細さに思ひとどまる
つ   石蕗の花その花首を炊きもして
き     麒麟のごとき漢きさらぎ
の   嚢中に乾坤を飼う白頭翁
ぼ     ぼんのくぼにも遅き日の影
り   李朝壷手に馴染みたる花のころ

挙句   絵巻におぼるあけぼのの空


 きさのき、象牙のこと夏至の月とちょっと近いけどお許しください。式目無視で失礼しました。(おるか、 水族館ログ 585 )