第59回水族館ネット句会 兼題;手帳 ノート 本
◎◎◎ 萩は実に光悦本の捲り癖 九鼠
◎◎○○○ 遺されし手帳の余白冬銀河 KUMI
◎◎○○ 毛糸玉ころがって行く母子手帳 柚香
◎○○○○○ 晩学のキャンパスノート冬銀河 お軽
◎○○○ 歩きつつ開く手帳や冬うらら お軽
◎○○○ 膳のもの手帳に描き十三夜 桑
◎○ アムンゼン防寒服の手帳かな 洗濯機
◎○ 小春日のノートに並ぶトンパ文字 柚香
◎ ささやかなことのみ手帳に書きて冬 美頬
○○○○ 厚くなるお薬手帳冬隣 こはぎ
○○○ しんしんと絵本のなかの少女冷え お軽
○○○ 河豚鍋を待つ間の絵本太閤記 柚香
○○○ 本閉づる旅の車窓に風花来 KUMI
○○○ 着膨れて絵本見る子の真顔かな かりんとう
○○ ゆふぐれの古本市や白秋忌 九鼠
○○ 絵草紙に維新の譚一葉忌 桑
○○ 肩の日や絵本の国も冬隣 おるか
○ 小春日や売り買ひさるゝ本の主 洗濯機
○ ハングルを手帳に記すクリスマス 海渡
○ 冬もみぢ古き手帖の走り書き 真里子
○ 古本の鉛筆書きの名返り花 おるか
○ 天の闇本に仕舞へる聖夜かな 海渡
○ 冬の鳥埴谷雄高の本重く かりんとう
○ 手帳に忌日書き足すことも冬構へ 九鼠
○ ノート閉ざしぬ黄落のひとひらに 真里子
○ 手帳開けば笹鳴き天のやさしき日 おるか
○ 絵本繰るときの眼差し冬銀河 真里子
○ 片時雨ペーパーバックまず嗅いで 洗濯機
○ 秋暮るる手帳の中の母の味 こはぎ
もう逢わぬと手帳に記してのちの冬 美頬
時雨るるや小暗き本屋仄温し かりんとう
あたらしきノート開けば秋は白 美頬
柿ひとつ手帳の余白をそのままに こはぎ
星冴ゆるノートに好きと書き連ね KUMI
句帳手に堂へ駆け込む初時雨 桑
ぱらぱらとノート捲りて雪の降る 海渡
選のみ : 織女
2006年11月