第58回水族館ネット句会 兼題;長月 夜寒 秋の昼
◎◎◎○○○○ 夜寒さの紐噛んでゐる小抽斗 柚香
◎◎○○○○○ 廃船の骨白々と秋の昼 柚香
◎◎○ 読み終へし本の重たき夜寒かな KUMI
◎○○○ 突堤に猫の来てゐる秋の昼 KUMI
◎○○○ 長月のアフリカ象の時間かな 九鼠
◎○○ 長月や白く塗らるゝ国境 洗濯機
◎○ 離れ家の錠たしかむる夜寒かな 桑
◎ 別のもの覗く夜寒の鍋の底 真里子
○○○○○○○ 解体の柱の跡の夜寒かな 桑
○○○○○○ 縁側に身の丈置くや秋の昼 洗濯機
○○○ 釣船に虻のつきくる秋の昼 織女
○○ 長月の倶利伽羅蒔絵経小箱 お軽
○○ 朝鮮語混じるラジオの夜寒かな かりんとう
○○ 菊月や紋付の母の手をひいて 柚香
○○ 秋の昼白馬は早も雪抱き ふくさん
○ あるじなき蜘蛛の囲揺るる秋の昼 KUMI
○ 北方の海を這いよる夜寒かな 海渡
○ 長月や群れ咲くもののみな小さく 真里子
○ 長月の舟影過ぎる由比ガ浜 織女
秋の昼我をオヤジと呼ぶ息子 かりんとう
秋の昼この径行かば迷ひさう 真里子
長月や先生の詩繰り返す 海渡
各々の話題各々の夜寒かな 洗濯機
足湯して平湯の森の夜寒かな ふくさん
菊月や吉報二つ届きたる 桑
秋の昼「コーヒー飲まない?」と妻が言う かりんとう
朴の実に朴の枝影秋の昼 おるか
ふたたびの人と覚ゆる夜寒かな 海渡
長月を足湯に写し平湯かな ふくさん
潮待ちの漁師溜りの夜寒かな 織女
誰彼を指さす先の秋の昼 おるか
秋の昼かもめが弔辞述べてゐる 九鼠
秋昼や明石原人歩きだす お軽
夜寒かなテレビの画像乱れゐる お軽
箱段の急勾配も長月や おるか
宵寒し鵯牢人のやうにくる 九鼠
2006年10月