第38回水族館ネット句会 「梅 一切」
◎◎○ 白梅の道ぬけてより身の濁り ムンク
◎◎○ 抽斗の衣の冷ゆる梅の闇 明美
◎◎○ 梅ヶ香や洋館に広き畳部屋 山猫
◎○○○○ 大勢の人逝きにけり梅と我 とびお
◎○○ 紅梅の雪のしづくに香りけり 山猫
◎○ 梅の花白きを踏みて通ふ猫 美頬
◎○ 熱の子を置いてきし日の薄紅梅 山猫
◎○ 飛梅や屯田兵の小さき墓 柚香
◎○ ご城下に教会ひとつ梅の花 明美
◎○ ステツキの人軽々と梅の花 真里子
◎ 毛氈を風ひるがへす梅見茶屋 KUMI
○○○○○ 探梅の疲れもすこし利休箸 柚香
○○○○ 紅梅や絵巻のはしは巻きこまれ お軽
○○○○ 消防署裏の野梅の真白かな KUMI
○○○○ 白梅に昭和のうしろ姿など 真里子
○○○ 紅梅をさぐれば母の紐垂るる とびお
○○○ ゆるやかに鯉の吐き出す梅の塵 とびお
○○○ 紅梅や天水桶のまた満ちて おるか
○○ 白梅に取り囲まれし朱唇仏 九鼠
○○ 梅日和生れてはじめて土踏む子 KUMI
○○ 訪ふ人の無き札所寺梅二月 桑
○○ 白梅や勾玉展示玻璃のなか お軽
○○ 犯人の荷物さぐれば夜の梅 美頬
○ 夜の梅の闇とゞこほる電子光 洗濯機
○ 梅ヶ枝は空いてゐるかと尋ねあり 洗濯機
○ 句帖の奥の紅梅か白梅か ムンク
○ 神宮寺までしんしんと梅白し おるか
○ ベルトひとつきつめにしめて梅日和 こはぎ
○ 好々爺なら出会ひたし梅の花 真里子
残雪を梅に受けるか千代女庵 ふくさん
扁額は旧師の筆や梅白し 桑
梅の字の母を見つけし梅月夜 柚香
梅林も変わりて今は白山市 ふくさん
人絶ゆる庭紅梅の美しく ムンク
紅梅や童女のやうに笑ひけり 九鼠
紅梅を眺むる寺は北安田 ふくさん
紅梅の萼なほ紅し誰か死ぬ おるか
木枯らしの運びし便り梅探し こはぎ
梅開く合格のこゑ弾みけり 桑
家を出る嫁 黄梅の花ざかり 美頬
梅静か療養の窓に寄り添いて こはぎ
梅林の晴れて眩しき人の声 明美
さつきから頭痛してゐる梅見かな お軽
雲いくへはがしあぐねて梅蕾 洗濯機
探梅のその夜に逝きし笑みを湛へ 九鼠
2005年2月