第37回水族館ネット句会 「音の聞こえる句」
◎◎○○○○ 人形は眼をとぢず鰤起し お軽
◎◎○○○ 山鳩よ能登一の宮雪しづる おるか
◎○○○○○○○ 水仙に闇の中から濤こだま お軽
◎○○○○ 風花来正午の鐘の彼方より 明美
◎○○○ 音放つやうに凍星ふたつみつ KUMI
◎○○ まな板の音に始まるお元日 KUMI
◎○ 布を裁つ鋏重たし雪激し 明美
◎○ ふくろふの羽音をいまも忘れざる 九鼠
◎ 超音波検査内蔵冷えてきし KUMI
◎ 虎落笛遠ざかる影追い続け こはぎ
○○○ 拍子木の一打ちに沸く初舞台 ムンク
○○ 寒柝の一打のやうな句が欲しき 九鼠
○○ 轟音となる冬眠のものらの息 九鼠
○○ 冬空へ開きしままの自鳴琴 真里子
○○ コーヒーを挽く音硬き冴ゆる夜 こはぎ
○○ 寒行の僧走り出す下駄の音 ムンク
○ 海鼠噛む女おっとり琥珀色 マンタ
○ 凍空の闇サイレンのけたたまし ムンク
○ 救急の音の聞こえて別れ雪 ふくさん
○ 冬銀河戒められし夜爪切る お軽
○ オキーフの骨の絵壁に寒の雷 おるか
○ 犇めきあふ町そのままを雪のはら 洗濯機
○ 始まりと聞きなほしけり除夜の鐘 洗濯機
○ 凍瀧を割りてその音を持ち帰る おるか
○ 妖精の大きな耳や虎落笛 真里子
○ 天地の凍てしこの世に爪を剪り 明美
大庇樋をしたたる霜雫 桑
はらわたや底から氷柱育つ音 洗濯機
雪を呼ぶ雷ひとつ人は逝く ふくさん
寒椿屈託のない雲にいて マンタ
ふすま閉め手にくりいむをのばすとき こはぎ
一こゑを上げ飛び立てり初鴉 桑
ぴっと鳴る体温計やはやり風邪 桑
涙声途切れ途切れのボタン雪 ふくさん
こだわりはきれいにつつむ初戎 マンタ
寒燈下ただ鉛筆の走る音 真里子
2005年1月