第34回水族館ネット句会
「秋思」「秋の日」「秋の暮」 2004年10月
◎◎○○○○ 秋の日の地球の上の石舞台 お軽
◎◎○ 犀の檻秋思の人を蒐めゐる 九鼠
◎○○○○○ 教室の角に消火器秋の暮 とびお
◎○○○○ 影もたぬ屋台の金魚秋の暮 九鼠
◎○○○ 火を熾すとき指白し秋の暮 明美
◎○○ 秋日濃き榎の木肌の荒あらし 桑
◎○○ 湧雲町二丁目八の七秋思 九鼠
◎○○ パンにバター滲み入る音も秋思かな おるか
◎○ 秋の日やぶらりと下がる畑のもの 真里子
◎○ トンネルを出て秋の日の痛きほど 山猫
◎ 脇甘き女となりぬ秋の暮 とびお
◎ 秋の暮れ消し炭残る社かな ふくさん
○○○○○○ 秋思この仁王の肩に薄埃 KUMI
○○○○○○ 秋思かな指輪くるりと廻しみる お軽
○○○○ 押し花のまだ色褪せずある秋思 真里子
○○○ 秋の日の車入らぬ道の猫 とびお
○○○ 秋の日の遠き縁の訃報かな KUMI
○ 秋の日や鎌いつぽんを研ぎあげて 明美
○ 饒舌の笑ひしあとの愁思かな ムンク
○ 秋の日や魚を割いては干す浜辺 KUMI
○ 秋の暮子供に海を見せている お軽
○ 白馬ばかりの回転木馬秋の日の おるか
○ 秋の日やしりぞきてまたしりぞきて 洗濯機
○ 秋の暮いのししの血の黒ずみて 美頬
○ 草刈の鎌かざし見る秋の暮れ ムンク
○ 猟犬の背のうつくしさ秋の暮れ 美頬
秋の暮小顔の犬と若者と 真里子
秋思今日も明日も明後日も ふくさん
要ありて往き来す秋の日のいのち 洗濯機
快晴の空の寂しさ秋思添う こはぎ
今の世に晴耕雨読といふ秋思 山猫
秋の日や鏡清めし理由(わけ)いくつか 洗濯機
日食を仰ぐ秋の日患者棟 美頬
逢魔が時を子に諭しゐる秋の暮 桑
積み上げる書物が増えて秋の暮 こはぎ
秋の日に熊も親子で遊びけり ふくさん
河馬老いて嫗の寝相秋の暮 おるか
秋の日や己が小さな影を踏み 明美
退社する友を見送り秋の暮 こはぎ
嘶きの胸にしみ入る秋の暮 山猫
連子窓秋思をさそふ海野宿 桑