兼題椿 水

◎◎◎◎○○5 雀らにまだ温かく落椿 お軽
◎◎◎○○29 望郷や三月の水迸り 九鼠
◎○○○31 まつすぐに鳥の入りし藪椿 織女
◎○4 魚のごと椿の島を人めぐり 明美
◎○19 つらつら椿葉隠れのまま畢る 九鼠
○○○7 本丸を走り出でたる雪解水 柚香
○○○15 表札は小字のままよ水草生ふ 桑
○○○20 黙祷の掌のつめたさや白椿 明美
○○○22 落ち椿にこりともせず猫がゆく 洗濯機
○○9 てのひら熱し落椿落椿 お軽
○○16 水色に灯るも春の夕べかな 芽茶
○○24 日輪を浮かべて芹の水澄めり 柚香
○○25 紅椿こもりの僧の手に生れて おるか
○○27 浮いてはや潜る川鵜に水温む KUMI
○8 水温む歩幅次第に広がりて 織女
○12 三月の水の景色ややや汚れ お軽
○14 水神の祠を覆ふ藪椿 明美
○ 17 紅椿此処に詩人の眠りをり 芽茶
○18 雪解水あつめて川の太りゆく KUMI
○21 紅椿みだらみだらに散り敷けり 柚香
○26 考へることなきままに椿まで 真里子
○30 水音や芽吹けば木々のみつめられ 織女
○33 水匂ふあたりきらきら蛇の舌 おるか

1 天秤やこゝろは椿一花ほど 洗濯機
2 原子炉に水満ち魚の目に泪 九鼠
3 水温む古典落語に荒物屋 真里子
6 この山塊は五百歳の大椿 洗濯機
10 口きかぬ椿人魚の肉の色 おるか
11 自立する女の寡黙紅椿 芽茶
13 一山を越えたる心地水温む 桑
23 囀や地下水脈の滾々と 真里子
28 落椿拾へば花粉こぼしけり KUMI
32 武将の墓朽ちて椿の森昏し 桑