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白山いちげ 一輪挿し 白山いちげが咲いたので、一輪挿しに投げ入れて部屋の隅のテーブルに置きました。北陸のうつろい易い光に蕾んではまた開く蒼い花。障子を通った光線がフランドル絵画のような薄鈍色の翳を添えています。 山野草を活けるのに、口の細い一輪挿しや鶴首は出番が多い花器です。細い細い鶴首の先に一輪挿して眺めると小さくめだたない野の花の、精妙さにしみじみ見惚れます。白山いちげは深い切れ込みのある濃色の葉の中から細い花茎を伸ばした姿が可憐です。白のほか薄紫や淡い蒼があって、とくに青い花はリルケのお話の老夫婦の庭に咲き出でた死の花はこんな色ではなかったかと思ったりします。 写真はわが家の居間のスナップです。後の和紙の作品は橿尾正次の「あかり」、額縁にはいっているのはオットセイの素描です。 予言の書はづれ白山いちげ咲く おるか
2004/3/15 |
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t-007