旬の味と器 冬 2 に戻る
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ケーキと紅茶 色絵チューリップ文カップ 急に寒くなった十二月、おやつにしようと思うころにはもう日差しはすっかり弱くなっています。ついこないだまで秋は残っていたような気がするのに、四時のお茶にも木陰は明るかったのに、と寂しくなります。ベランダの名残の薔薇の香りがどこか幼くてそれも寂しい。北陸の冬は長くて湿気が多くて、寒がりの私にも猫たちにも憂鬱な季節です。せめてカップはチューリップ模様にして元気を出そうと思います。受け皿は佐竹康宏さんの茶托。木目がきれいです。木々は冬の間も一際強く香る樹液を上らせて木の営みを休まないのでしょうね。 時雨の合間の光が白磁の皿に落ちてきます。その一瞬の不思議な明るさ。萩原朔太郎の「猫町」も、北陸のどこか山の中の町だというけれど、こんなひとときの印象を描き止めたにちがいありません。(おるか) 紅茶聞く午後のかなしみ冬薔薇 おるか
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