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おでん   染付蛇の目文六寸皿

カフカ知らぬみみせせ見せておでんかな   おるか

 実を言うと、おでんは大好きではありません。なのに、寒くなってくるとほしくなるのです。僕にとっては不思議な料理です。何よりも暖かい雰囲気が良いのだと思います。種としては、なんといっても魚練り物がないとはじまりません。これは、所変わっても共通なのではないか。

 関西では牛の筋肉が、またあるところでは鯨の脂身、と必須おでん種があるようですが、僕の好みではあまり濃厚ではない方がすきです。気を付けなければならないのは、種それぞれに食べごろがあるということ。どれもこれも、ただただ煮込んではいただけない。

 器は、やや大きめの取り皿として、蛇の目文六寸皿です。取り皿というのは、手に取ることから軽めがよく、形は四角や変形は扱いづらいです。(オットセイ)

2005年11月14日


はんぺん   染付鼎文八寸皿

冬日向得てはんぺんの二三片   おるか

 写真は、はんぺん、ごぼうてん、ばくだん。僕の子供のころ、福井県武生市では、この三種の他に、板についた蒲鉾と竹輪があるだけでした。加賀市でもほぼ同じだったようです。写真手前の直径約8cmの平たいものが福井県では「はんぺん」で、これと全く同じ形で神奈川県のものが、並べて売られていましたが、それは「ひら天」の名でした。写真上の「ばくだん」はいわば「半ばくだん」で、中のゆで卵が半分しかありません。ゆで卵一つ入った「ばくだん」は大きすぎて人気がないのか、今回の撮影で捜したのですが、見つかりませんでした。いつ、こんな「半ばくだんが出来たのでしょう。

 1960年中ごろからでしょうか、「さつま揚げ」や関東のふわふわで真っ白い「はんぺん」、東北の「笹かま」、愛媛の「じゃこてん」、どこそこの「なになに竹輪」、全国を席巻した感のある大手メーカーの魚練り製品が加賀の店にもあふれています。例えば「じゃこてん」は大好きですが、ここで簡単に手に入る嬉しさよりも、地方独特の味と形がなくなって残念な気持の方が、ややまさります。

 魚の練り物の食べ方としては、さっと炙って醤油をちょっとつけて、好みで辛子や七味なんてのがすきです。写真は七輪で炙りました。網の上でぷくっと膨れて面白いです。全体の形を見せたかったので丸ごと染付の皿に盛りました。(オットセイ)

2005年11月21日

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